KOHH「DIRT II」
- アーティスト: KOHH
- 出版社/メーカー: GUNSMITH PRODUCTION
- 発売日: 2016/06/17
- メディア: CD
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自分は KOHH という存在に対してすっかり距離を測りかねています。ダブステップ/トラップの緊張感、ダークネスを徹底して貫いたトラック群、その上で至極端的な言葉のみを吐き散らす独特のスタイル。余計な詩情、贅肉を削いだリリックはほとんど思考を通過していない殴り書きのようですが、そのシンプルさ故に規格外の強度を持っているとも言えます。例えば峯田和信や遠藤ミチロウのスタイルにも似た、上手下手とは全く別次元の凄味。今作ではロック/メタル要素を大胆にブチ込んだ「Die Young」を筆頭に、太いベースの鳴りやノイズ処理などで言葉の持つ圧の強さが一層強調された仕上がり。そこにイマジナティブな余白は一切なく、一筆書きで曝け出された彼の主義主張、脳内世界がモノリスのように聳え立ってる。ただ正直トラックやフロウはほとんど一本調子でひどく聴き疲れを起こすし、海外からの借り物感が否めないのも事実。善し悪しの価値観を揺るがすくらいのパワーがあるのは確かだけど、何だかゴリ押しの力技で押し切られてるだけのような気がしなくもない。彼の迫力は果たして化けの皮なのか?その辺かなり際どいっす.com。
Rating: 5.0/10
TOKYO HEALTH CLUB「VIBRATION」
- アーティスト: TOKYO HEALTH CLUB
- 出版社/メーカー: LEXINGTON CO., LTD / OMAKE CLUB
- 発売日: 2016/06/08
- メディア: CD
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バンド名もアルバム名もいかがわしさ満載。しかし中身はそこまでアンダーグラウンドなわけではありません。3MC のマイクリレーはアッパーだけど脱力気味という軽妙さでフロウし、シティポップ風味の洒脱なムードを纏いつつコシのあるファンキーなビートは非常に馴染みやすい。リリカルな情景描写とウェイウェイふざけた遊び心の交差、そこには深い意味があるようなないような、ただその柔軟なラップは現場の熱気を自然にアップリフトするであろうスキルフルなもの。ゲスト参加の MCpero に半ば無理矢理ほめてもらってる「オシャレ」、ZOMBIE-CHANG の意外なくらいの歌唱力が映える「MAD-ONNA」が特に目立ちますが、彼らの表現のコアとなるのは気怠くも爽やかな「ASA」、映画やゲームでダラダラ過ごす「休日は Holiday」、茹だる夏の瞬間があっという間に過ぎていく「Last Summer」、この辺のスルスルと切り取った日常風景、そのユルさと何気ない輝かしさではないかなと。テキトーという名の等身大。最後の MACKA-CHIN フィーチャーによる「ズラカル」も洒落の効いたシメ。実はコンセプトアルバム?
Rating: 8.0/10