Emma Ruth Rundle「Marked for Death」
- アーティスト: EMMA RUTH RUNDLE
- 出版社/メーカー: SARG
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: CD
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Red Sparowes や Marriages といった複数のポストロックバンドにも参加している彼女。このソロ作品ではフォークソングの形態を取ってはいますが、バンド活動からのフィードバックはそこかしこに見受けられます。緻密なディレイ/リバーブ処理により深遠な奥行きを構築するギターサウンド。これ見よがしのディストーションは少ないけれど、時に空間一杯に充満していく音の重層は、実際の厚み以上にヘヴィでシリアスな印象を受ける。リズム隊がバンド譲りのタイトで骨太な鳴りをキープしているのもあり、ダークでゴシックな雰囲気の中にも豊かな世界観の広がりを感じます。そしてこの作品の中で彼女が歌う内容には一貫性がある。「Protection」では愛する人の腕の中に、「Heaven」ではこの世ならざる世界で燃え盛る炎に、僅かでも確かな愛情、安らぎを求めています。「Furious Angel」に至っては「あなたの愛がなければ/怒りの天使が私の頭上に死を降らせる」とまで。なるべく抑揚を押さえた中で彼女の歌はひどく表現力豊かに、悲しみを湛えたままで揺蕩っています。あまりにも切実、時には恐れすら感じる救済の希求。
Rating: 8.0/10
MONO「Requiem for Hell」
- アーティスト: Mono
- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 2016/11/11
- メディア: CD
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今回もポストロックど真ん中。クリーントーンの静寂から空間的な轟音へと緩やかにシフトしていく、目一杯のドラマチックな悲壮感で満ちたインストゥルメンタル。オリジネイターの Mogwai や Sigur Rós ですら様々な方向転換を模索してるというのに、この初志貫徹したポストロック以外の何物でもない音楽性は、むしろ今では稀少なものになってきている気すらします。ただ今回収められた5曲は全てが金太郎飴状態になっているわけではなく、彼らの王道をそのまま受け継ぐ「Death in Reverse」「Ely's Heartbeat」、弦楽隊オーケストラによるインタールード「Stella」、今作の核となる約18分の超大作タイトルトラック「Requiem for Hell」、少しばかりの暖かみや包容力を感じさせる終曲「The Last Scene」と、それぞれの役割分担が上手く分けられた組曲的構成。その流れのスムーズさのため、5曲で46分というダイナミックな長さの割にはコンパクトに収まったという印象。相変わらず目新しさなどはないけれど、自分たちのやれることを純度高く突き詰め、目指す情景を過不足なく描き切ったベテランならではの隙の無さ。これもまたひとつの強み。
Rating: 7.0/10