PLASTICZOOMS「PLASTICZOOMS」

PLASTICZOOMS

PLASTICZOOMS

フルレンスとしては3年3ヶ月ぶりとなる4作目。


2015年から1年間ベルリンに活動拠点を移していた彼ら。何故ニューヨークでもロンドンでもなくベルリンだったのか、それはこの新作を聴いて腑に落ちました。これまでの80年代ニューウェーブ由来のシンセポップから EBM /インダストリアルへと趣向が変わり、くっきり音圧の際立ったダイナミックなボディビートが最も特徴的。ガチガチの太いキックに大きく噛みつくディストーションギター、ある種本来的なロックへの回帰とも言える派手な躍動感は一周回って新鮮なもの。しかしそこにも耽美的でロマンチック、なおかつアングラなキナ臭さを同時に匂わせる、従来の彼らならではの味は健在です。個々の音をよりシンプルかつタフに仕上げ、より強固な肉体性を得ることでバンドのゴス性がまた新たな領域に足を踏み入れています。また中盤ではディスコ/ファンクへの憧憬が露わになる「Highway」、牧歌的でキュートなギターロック「U12」といった艶やかな楽曲で緩急をつけており、この辺にも彼らの根底部分が現在に至るまで途切れずに繋がっていることが分かる。これまでの集大成ではなく、進化こそがこのバンドの本質なのだと印象付けるセルフタイトル作。

Rating: 7.5/10



PLASTICZOOMS"HIGHWAY" ft.HIDEKI MATSUTAKE&MICHIKO LONDON KOSHINO

minus(-)「O」

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約1年ぶりのリリースとなる、初のフルアルバム。


過去の2枚のミニアルバムからの再録が各4曲と、新曲が3曲。こうして1枚のフルレンスに並べられると一層際立つのが、藤井麻輝森岡賢はいつまでも水と油、光と影の対照的な存在であったということ。この作品は前半と後半で様相がガラリと異なります。前半は硬くシャープに研磨されたビートが突き刺さる、インダストリアル経由のダークなエレクトロニカ。後半は EDM やブロステップの即効性快楽が派手に弾けたアッパーダンスチューン。いずれの楽曲も藤井麻輝の手によって微調整が施され、身体に響くビートの心地良さという点は一貫しています。逆に言えば共通点はそこくらいではなかろうか、というほどの2人の方向性の違いには思わず笑いすら零れてしまう。思えば SOFT BALLET 時代から彼らはお互いにやりたい放題で、ひとつのバンドの振れ幅としてはかなり際どいバランスを保持していました。そんな両極端な色味のコントラストがここではより明確に表れており、その明と暗は冒頭の「The Victim」、最後の「B612」という儚くメロディアスな楽曲どうしで繋がれ、ひとつのメビウスの輪を形成しています。確かにこれは「2人」の作品。

Rating: 8.0/10



minus(-) / 「O」「V」Trailer Movie