KREVA「嘘と煩悩」

4年ぶりとなる7作目。


嘘が800、煩悩が108、足して908(クレバ)。思わせぶりな表題だけど要するにセルフタイトル。よくこんなうまいこと思いつくな。長いインターバルを置いた割には11曲45分と、過去の作品よりもコンパクトな収まり。しかし内容はこれまでに打ち出してきた KREVA らしさを改めて纏め直してドリップしたような、サラリとしつつもパンチの効いた内容になっています。聴いていて痛感させられるのは彼のバランス感覚の良さ。トラップ基調の曲を揃えて最近の流行も取り入れつつ、心地良いアタックのリズムにスウィートなメロウ感を忘れず、早口になっても言葉をしっかりと聴かせ、硬い押韻をスパッとキメてラップ主導で引っ張っていく。ヒップホップに留まらずにポップシーンの第一線を張りながら、芯にあるヒップホップ要素は決して薄れていないのですね。少しばかりフリーキーで挑戦的だったり、真っ当に切ない美メロを聴かせたりといった振り幅がなだらかに繋がれ、楽曲の粒も綺麗に揃えられたトータリティのある良作です。あと増田有華をフィーチャーしてスタイリッシュな R&B ポップに仕上げた「Sanzan」には驚かされた。この辺のアンテナの鋭さも流石。

Rating: 8.0/10



KREVA - 908秒で分かる「煩悩盤」

ねごと「ETERNALBEAT」

ETERNALBEAT(初回生産限定盤)(DVD付)

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約2年ぶりとなるフルレンス4作目。


共同プロデューサーとして中野雅之BOOM BOOM SATELLITES)と益子樹ROVO)が名を連ね、ビートへの意識を特に高めてきた本作。元々スクエアなダンスビートを主体とした楽曲が目立ってはいましたが、この両者の導きも手伝って、リズム隊がますますテクノ寄りのタイトかつクールな質感へと引き締められています。特に中野氏プロデュースの楽曲は影響が分かりやすいですね。シンセの空間的な広がりを強調してよりトランシーに発展した「アシンメトリ」、ダイナミックな演奏としっとりした和メロとの対比が面白い「シグナル」。どちらも従来のねごとらしさを踏襲しつつサウンド面で前進を果たした佳曲だと思います。またその他のセルフプロデュース曲でもアンビエント風の浮遊感が心地良い「mellow」、オープンに突き抜けた力強さと暖かさを同時に感じる「PLANET」など、以前よりフレキシブルなスタイルでエレクトロニクスを導入し、バンドの骨格と有機的な融合を果たしています。その結果彼女らの世界観がより色鮮やかに表現され、深みもグッと増したように思う。何だかんだで作品毎にきっちり成長を見せてくれるから頼もしいバンドだ。

Rating: 8.2/10



ねごと - ETERNALBEAT [4th ALBUM「ETERNALBEAT」]