X JAPAN「WE ARE X オリジナル・サウンドトラック」

「WE ARE X」オリジナル・サウンドトラック

「WE ARE X」オリジナル・サウンドトラック

ドキュメンタリー映画「WE ARE X」のサウンドトラック集。


音楽に音楽以外の何かを感じ取る聴き方について。音楽を作るものが人間である以上、そこには作り手の出自、経験、思想、生き様が良くも悪くも反映されるもの。そこでこの X 。楽曲至上主義の観点から見れば X の音楽はあまりにも奇怪で不純なものとして映るでしょう。彼ら以上に激しくヘヴィな音を出しているバンドは世界中にごまんといる。しかし音楽の裏に横たわる時間の流れを汲み取った時に、果たして X よりもヘヴィな音楽がどれほど存在し得るでしょうか。事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、バンド結成から直近のマディソン・スクエア・ガーデン公演までに起こった様々な事件は、劇場のスクリーンで改めて突き付けられると胸を強く締め付けるものがありました。音楽には作り手の生き様が刻まれる。その生き様を出来る限り詳細に、リアルに切り取ったこの映画の劇伴として集められた楽曲は、過去の様々な編集版にたびたび収録されたものであっても、その楽曲本来の魅力、リアリティをここでさらに濃密に際立たせているように感じられます。ここにあるのは多くのファンやメンバー自身の運命を大きく捻じ曲げた、音楽以上の巨大な何か。

Rating: 7.4/10



'WE ARE X' IN JAPAN & UK THEATERS MARCH 2017 - WORLDWIDE COMING SOON!

Clap Your Hands Say Yeah「The Tourist」

THE TOURIST

THE TOURIST

2年8ヶ月ぶりとなる5作目。


メインソングライター Alec Ounsworth のソロユニット状態となってからの初作だった前作「Only Run」は、改めて聴くと彼の中にあった多様なアイディアを粗削りのままで陳列していったような内容でした。今作ではそこから全体的な方向性の纏まりを意識し、順当なステップアップを遂げています。裏返りがちな脱力ヴォーカルやローファイな演奏が醸し出す、ふわふわとした夢見心地なムード。それは彼がデビュー作の時点で一番のキモとしていた要素ですが、その原点へと立ち返ったインディポップの応酬。なおかつ 2nd で見せていた冷たくダークな雰囲気、The Cure に通じるマニアックで歪な美しさも全体に多く見られます。あてもなく夜の淵をひた走るような「Down (Is Where I Want to Be)」や「The Vanity of Trying」、あどけない可愛らしさの中にブルーな切なさを醸し出す「A Chance to Cure」「Ambulance Chaser」などにしても、牧歌的な心地良さの中にふとした拍子で崩れてしまいそうな繊細さが同居し、柔らかな音の鳴りとは裏腹にある種の毒を感じさせる。そんなニュアンスに富んだポップソングこそ CYHSY ならではの個性。本領発揮と言えるでしょう。

Rating: 7.8/10



Clap Your Hands Say Yeah "Down" (Official Video)