ちゃんみな「未成年」

未成年

未成年

現在18歳のフィメールラッパーによるデビュー作。


高校生 RAP 選手権で初めて目の当たりにした彼女は、明らかに他とは異質な才能をすでに発揮していました。結果は2回戦敗退ではあったものの、言葉をビートに乗せる時のリズム感覚の高さ、鼓膜に引っ搔き傷をつけるようなアクの強い声質は、他のバトル上位ラッパーよりもずっと深い爪痕を残していたと思います。その彼女の個性がこの初フルレンスでは全面開花。表題曲「未成年」や「FXXKER」といったアッパーチューンではその辺の野郎どもを蹴散らす勢いでビッグマウスな自己顕示をブチかまし、「BEST BOY FRIEND」「OVER」は強さと弱さが入り混じった彼女なりの言葉で綴るラブソング、「She's Gone」では若いながらも決して平坦では無かったであろう自らの道程をに赤裸々に綴る。歌もラップも巧みにこなすスキルの高さ、独特のスタイルのアピールのみならず、彼女の内面にあるリアリティをひっくるめて吐き出した、正しく映し鏡のような11曲。また TeddyLoid 作曲のクローザー「ダイキライ」は DAOKO 「ダイスキ」へのアンサーソング。洗練されたサブカルチャーアイコンに噛みつくアンチヒロインって、何だか燃える展開じゃないです?

Rating: 8.1/10



ちゃんみな(CHANMINA) - FXXKER (Official Music Video) [YouTube Ver.]

V.A.「加山雄三の新世界」

加山雄三の新世界

加山雄三の新世界

加山雄三の楽曲をヒップホップリミックスした企画盤。


そもそもの発端は今作の冒頭にも収録されている PUNPEE「お嫁においで」リミックス。トラックにおける原曲の大胆なサンブリングセンスもさることながら、そこに PUNPEE なりの楽曲解釈、すなわち結婚という割かし重めのテーマと自身のテキトーキャラの交差点を模索し、結果ハートウォーミングな雰囲気に仕立てつつウィットに富み、過去と現在の橋渡しに成功した名カヴァーでした。ヒップホップファンの間ではすでにクラシック扱いかと思いますが、この曲が単なる一発ネタで終わらなかったのは PUNPEE の手腕のみならず、若大将のヒップホップに対するポジティブな理解、また近年の THE King ALL STARS としての活動などで後進とのコラボレーションも盛んに行うなど、その柔軟で受け皿の広い姿勢が相互のリスペクトを生んだからこそでしょう。そして今回集められた数々の名曲リミックス。出来は正直なところ二番煎じとまでは言わないまでも同じ方向性のアレンジが多く、先発の PUNPEEインパクトを超えるほどのものは少なかったかと。ただその中でも、己の人生と原曲をがっぷり四つで結びつけた ECD「君といつまでも」は凄まじい質量。

Rating: 7.2/10



「君といつまでも(together forever mix)feat. ECD×DJ Mitsu The Beats」 ECD×DJ Mitsu The Beats