メトロノーム「CONTINUE」
- アーティスト: メトロノーム
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2017/03/15
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
聴いていてすっかり懐かしい気分になってしまった。自分はかつてのメトロノームをそこまで深く追っていたわけではないけれど、cali≠gari やムック、グルグル映畫館、犬神サーカス団などの所謂密室系/地下室系が隆盛していたゼロ年代初頭、その界隈を漁っていればメトロノームの名前も当然のように耳に入ってきました。ザックリ言えば有頂天や POLYSICS をそのまま連想させるピコピコデジロック、そこに明快な和メロとネガティブでヒネくれた歌詞が乗るという、ある意味とてもキャッチーなコンセプト。この新作ではシンセの派手さや生演奏のラウド感がパワフルに補強されただろうか、しかし全体から受ける印象は、もう笑ってしまうほどに当時のまま。敢えての大味なチップチューン風シンセは、コミカルでB級、レトロ故の新鮮な味わいを相変わらずの調子で保っています。終盤にはグルグル映畫館「形而上気分で Rock’n Roll」のカヴァーまで演ってるのが憎い。表題「CONTINUE」とはバンド再始動のみならず、過渡期を迎えていたゼロ年代のV系インディーズシーン、その当時の奇妙で刺激的な空気感をまるごと継続させるという意味なのかも。考えすぎか。
Rating: 6.5/10
大森靖子「kitixxxgaia」
- アーティスト: 大森靖子
- 出版社/メーカー: avex trax
- 発売日: 2017/03/15
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (8件) を見る
リード曲「ドグマ・マグマ」の歌詞中にもある、男でも女でもない性別、白でも黒でも黄色でもない人種、またその他にも生い立ちや職業、性格などでマジョリティとされる範囲から外れてしまう人々。今作に参加してるの子(神聖かまってちゃん)もその外れた範囲に属する一人ですが、の子は深く傷つき葛藤しながらも、マジョリティに真っ向から立ち向かって変わることを選んでいます。その変化を成長と呼ぶか日和ったと呼ぶかは人次第かと思いますが、どちらにしろ彼は挑戦を選んだ。大森靖子の場合はおそらくその逆。マイノリティはそのままに、世界の方を変えようとしてる。もしくはマイノリティがマイノリティのままでいられる世界を作ろうとしてる。その世界を「キチガイア」と名付けたらマジョリティの大人達の事情でタイトル変更を余儀なくされたというオチ。キャッチーな放送禁止用語や流行語の多用、オーバープロデュースなアレンジなど良くも悪くも下世話で痛々しいセンスは相変わらずで、個人的にはやはり苦手意識の方が勝ってしまうのですが、それでも「個は個のままでいい」という彼女のメッセージの本質に救われる層はきっと多いでしょう。
Rating: 6.0/10