At the Drive-In「in∙ter a∙li∙a」

IN.TER A.LI.A

IN.TER A.LI.A

約17年ぶりとなる4作目。


思っていた以上に ATDI していて逆に驚いた。ATDI 解散後の The Mars VoltaOmar Rodriguez Lopez Group などではサイケ/プログレ路線を邁進し続けていただけに、当時とはメンバーの趣向もすっかり変わってしまったのだろうという認識があったので。ちょうど前作にあたる「Relationship of Command」から地続きの、グネグネと複雑にうねりながらも衝動丸出しの猪突猛進っぷりを見せるエモ/ハードコア。数多いエモバンドの中でも彼らはテキサスという土地柄がそうさせるのか、特にいなたくて土臭く、ナイーブでありながら野蛮なインパクトを与えるものでした。ここでの彼らがその時の衝動を取り戻し、かつての勢いを完全に復活させたかと言うと、残念ながらそこまでには至っていない気もします。一発で頭を打ちぬくようなリフ/フレーズには欠けるし、以前の荒々しさに慣れ親しんだ身からすると若干大人しめな印象すら受ける。ただ少なくとも Omar の中では、先日の Crystal Fairy でもストレートなロックンロールへのアプローチを図っていたし、原点回帰的な意識が高まってきているのかもしれません。それならばこの復活作にも必然性は感じられる。

Rating: 6.7/10



At The Drive In - Hostage Stamps (Official Music Video)

Slowdive「Slowdive」

SLOWDIVE

SLOWDIVE

22年ぶりとなる4作目。


復活の第一手として彼らが選んだのは、自分達のファンが自分達に何を望んでいるか、その魅力の大幹を成す部分のみを抽出し、客観的に捉えて再定義するということ。それはすなわちシューゲイザーというジャンル自体の再定義とも言えるわけで、これは数年前の My Bloody Valentine にしてもそうだったけれど、長い時間を経て再結成を果たしたレジェンドがやるからこそ意味を成す、ある種の特権のようなものだと思います。幻惑的なギターサウンドのレイヤーが何重にも重なり、すっかり浮世離れした美しさを描き出す、彼らの過去作で言えばちょうど「Souvlaki」と「Pygmalion」の中間点に在るような音像。しかしただ単に昔の焼き直しを演るだけでは面白みがない。どうせ陶酔するなら徹底的に、とことん深遠へと潜り込む。曲構成だけ見れば軽快なギターポップと言える「Star Roving」や「Don't Know Why」も彼らのフィルターを通せば万華鏡のようにミステリアスな煌めきを纏い出すし、リード曲「Sugar for the Pill」に特に顕著に表れた、あまりにも瑞々しく繊細なポップセンスにはすっかり参ってしまった。ノスタルジーばかりではない、ひとつの確かな矜持。

Rating: 8.3/10



Slowdive - Sugar for the Pill (Official Video)