V.A. 「Plastic Tree Tribute ~Transparent Branches~」

Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~

Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~

初となる Plastic Tree のトリビュート盤。


丁寧なカヴァーが多いなという印象。それは決して原曲に忠実という意味ではなく、曲本来の色味を残しながら己の個性も注入して新たな側面を見せるという、カヴァーを演る上での一番の良心を見せてくれているアクトが多いということ。普通に歌うだけで曲を自分の色に染め上げてしまう清春MUCC 、快活なスピードを付与して見違えるほどカラフルな仕上がりとなった LM.C やR指定も健闘していましたが、特に興味深かったのは THE NOVEMBERSPeople In The Box 、PELICAN FANCLUB といった非V系の面々。竜太朗も何だかんだで耽美的なクセが強いヴォーカリストなもので、しゃくり上げなどの装飾をなるべく取っ払った歌声に置き換わることで、歌詞中で描かれる世界観は明らかに色調を変えた見映えとなり、もしかすると原曲以上にストレートに刺さりやすくなっているかもしれません。特にピープルの「エンジェルダスト」は大胆にも牧歌的なインディフォークに改変されたアレンジと、神経症的な悪い夢のような歌詞とのコントラストに背筋がヒヤリとする。こうして良き理解者たちが集ったことも彼らの20年の成果のひとつですね。

Rating: 7.5/10



Plastic Tree トリビュートアルバム「Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~」【Trailer】

RHYMESTER 「ダンサブル」

約2年ぶりとなる11作目。


だいぶ余裕綽々な印象を受ける。そもそもアルバム表題の「ダンサブル」というテーマは「KING OF STAGE」を自称するライムスターにとって今に始まったことではなく、ライブの熱気を思わせるような躍動感はずっと一番にアピールされていたと言っても過言ではないと思います。つまり今回は敢えて彼らの原点、基本に立ち返ったシンプル・イズ・ベストな内容ではないかなと。DJ JIN による「Don't Worry Be Happy」「爆発的」での躍動感溢れるブレイクビーツはこれぞライムスターという感じだし、DJ WATARAI による正統派ヒップホップといった趣の「スタイル・ウォーズ」、レイドバック気味でラグジュアリーな雰囲気を醸し出す「ゆれろ」や「Diamonds」にしても底を支えるグルーヴの強さは持続しており、10曲41分が随分とコンパクトに思えるほどの勢いで駆け抜けていく。ただそういったベテランの余裕を感じる一方で目新しさに関しては正直弱いし、良くも悪くもここが昨今のトレンドとは切り離されたガラパゴス状態と化している感はある。持ち得るスキルをきっちりアウトプットした手堅い内容ではあるのですけどね。

Rating: 6.9/10



RHYMESTER - Future Is Born feat. mabanua