warbear 「warbear」

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尾崎雄貴 (元 Galileo Galilei) によるソロユニットのデビュー作。


今作を作る上でのインスピレーションの源として、彼は Fleetwood MacNick DrakeNeil Young など主に70年代頃のフォーク/ブルースを聴いていたとインタビューで語っています。素朴で伸びやかなメロディにゆったりとした演奏のグルーヴ、またサイケな意匠などは確かに古き良き時代の匂いをそのまま受け継いだものであり、Galileo Galilei の後期とも自然にリンクするもの。ただその中でもエレクトロニックな質感のビートを取り入れた「Lights」だったり、キレのあるアップリフティングな曲調が異色な「掴めない」など現代的なセンスも随所に見られ、本編クローザーの「27」なんかはエフェクティブで実験的な音作りが Bon Iver を彷彿とさせる。そんな懐古と先進がせめぎ合った楽曲の中で、彼の紡ぐ言葉は今でも何かに対して常に物憂げに思い悩んでいるように見えます。「蝶はサナギのままで枯れる」などの未熟で悲観的なモチーフを交えながら、自分の内面を深く見つめ、日常の世界と真っ向から対峙する。正しさとは何処にあるのか、決して出ない答えを痛々しいまでに追い求めている。尾崎雄貴の内的世界がより純化を受けてアウトプットされた作品です。

Rating: 7.4/10



warbear 『Lights』(Music Video)

POLYSICS 「That's Fantastic!」

That's Fantastic!(初回生産限定盤)(DVD付)

That's Fantastic!(初回生産限定盤)(DVD付)

1年8ヶ月ぶりとなる15作目。


先日突如アナウンスされた新ギタリストのナカムラリョウ加入のニュース。過去のメンバーに未練を残していたわけではなく、トリオ編成時もそれはそれで十分ポリシックスを全うしていたとは思いますが、新しいアーティスト写真を見るとやはりポリは4人編成が似合うなあと、何だか感慨深いものが沸き起こります。今作のレコーディング時からすでに現在の編成は始まっていたとのことですが、収録された楽曲はやはりいつものポリシックスらしいエレポップ・パンク。ただ新たなスタートを切ったということでエナジーがいつもに増して膨張したのか、(実際の作曲プロセスは分かりませんが)スタジオセッションの自由で荒々しい雰囲気がそのまま反映されたような、輪をかけてアグレッシブではちゃめちゃな勢いを感じます。ポップなメロディを軸に整理整頓するより前に、つんのめるほどの速度でガシャガシャと複雑なリフを畳みかける、その様はある種原点回帰したような面もあり、その一方でファンキーに跳ねる「ルンバルンバ」のようなポリにしては珍しめな曲もあり。結成20周年にして未だフレッシュさをアピールできるバンドもそういませんよね。

Rating: 7.1/10



POLYSICS 『That's Fantastic!』