5lack × Olive Oil 「5O2」

5O2

東京出身のラッパーと福岡出身のトラックメイカーによるコラボアルバム。

この2組によるコラボレーションは5年ぶり。すでに両者ともに勝手知ったる存在という感じで、それはもうすっかり当たり前のように抜群の相性を見せています。アブストラクトな浮遊感の中にファンキーなグルーヴをそっと忍ばせた Olive Oil のトラックと、相変わらずゆるゆるとした脱力っぷりで、しかしその奥には鋭い視線を隠し持って繋がれる 5lack のラップ。どちらにも言えることは弛緩しているようで締める所は締めるというバランス感覚。その絶妙なラインを何とも飄々とした素振りでなぞってくるものだから、やはり彼らの持つセンスには他とは一線を画すものがあるなと。コラージュ的手法のインストゥルメンタルを挟んだ全9曲30分、この腹八分目のボリュームは正直少し肩透かしではある。ただそのぶん頭からケツまでの構成はサラサラと流れるようにスムーズなもので、聴いているうちにその心地良いチルアウトムードと、何処に向かうか分からない緊張感、また K-BOMB 参加曲「Sleepiyz」のようなパンチの効いたスパイスなどが綯交ぜになった、そのディープな中毒性へとずぶずぶと沈んでいく。自らの持ち味を再定義するような手堅い一発。

Rating: 7.4/10

5lack x Olive Oil (-502-) / ¥STERDAY

集団行動 「充分未来」

充分未来

真部脩一を中心とする3人組の、8ヶ月ぶり2作目。

どうやらインタビューを読むと、外からはスマートに見える彼らにもそれなりの衝突や葛藤はあったようで、そういった段階を経ての新作は基本の部分では変わっていない、けれど確実に変わった部分は見える。まず変化を感じたのは齋藤里菜のヴォーカル。前作では良くも悪くも個性が薄く、ともすれば棒読みとも思えるような印象があったのですが、ここでは多少の経験を積んだからかリラックスした雰囲気が通底しており、ここでようやく自分自身の特性を掴んだように見えます。「会って話そう」「春」のような優しいメロディではその柔らかく透明感のある声質が当然のように良く映えているし、クールで物憂げな色合いが出てくる「絶対零度」では曲調に合わせてその表情に微妙な変化が表われているようで、少しばかりハッとさせられる。またサウンド面においても不意にボサノヴァを挿入する「フロンティア」、ディストーションを大胆に噛ませたパンクナンバー「鳴り止まない」といった目新しさもあったりで、縦にも横にも順当に成長を果たした内容。真部脩一主導のプロジェクト的な体制から、真っ当なバンドらしさは確かに生まれてきてるかも。

Rating: 7.5/10

集団行動 / 「充分未来」Music Video Track（充分未来～オシャカ～会って話そう～モンド）