V.A. 「CHATMONCHY Tribute -My CHATMONCHY-」

【メーカー特典あり】CHATMONCHY Tribute 〜My CHATMONCHY〜(特製ポスター(ブラウンver.)付)

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初となるチャットモンチーのトリビュート盤。


明るい曲や暗い曲、激しい曲や静かな曲、どんな方向であれ極めて突出した表現手法というものは、ある基準を上回った時に受け手がその表現の強度に耐えきれず、笑いを誘発するということはままある事象だと思います。今回のトリビュートで言えばきのこ帝国の「染まるよ」がそれでした。最初聴いた時はあまりの重たさにうっかり笑ってしまった。原曲を大切にしつつきのこ帝国らしいギター音響をささやかに添え、佐藤千亜妃は感情的になりそうなところを敢えて抑えての柔らかな歌唱。この力の抜け方がまた絶妙なもので、何もかも清算して終わった後の虚しさ、諦めや後悔といった感情がこの上なくリアルに表現されていて、聴き心地はさらりとしているのに後味はごってりエモーショナル。歌詞中でひとつのモチーフとして扱われている煙草、えっちゃん版はだいぶ無理して吸ってる感があるけど佐藤さん版は遠い目をしながら至って慣れた手つきで吸ってそうだし、そのスムーズな仕草もまた哀愁を醸し出すひとつの絵画のようじゃないか。これ一曲で完全に優勝しました。他だとバンドの現在のモードと楽曲が綺麗に噛み合ったねごと「シャングリラ」が秀逸。

Rating: 7.0/10



【第1弾】V.A『CHATMONCHY Tribute ~My CHATMONCHY~』 ダイジェスト

The Messthetics 「The Messthetics」

MESSTHETICS

MESSTHETICS

Joe Lally 、Brendan Canty (Fugazi) を擁する3人組のデビュー作。


Fugazi において Joe & Brendan のリズムセクションが重要な役割を担っているのと同様に、この新バンドでも彼らの力量は十分に発揮されています。決して派手なプレイをしているわけではない、しかしながら贅肉を削いで太い芯のみを残した音の鳴りは的確に身体にヒットし、直線的なスピード感と変拍子のうねりを備えたグルーヴ、またスロウな楽曲でも音の隙間にひっそりと緊張感を漂わせて聴き手を引き込む、その理知的かつ肉体的な演奏はポストハードコア代表たる彼らならではのもの。そこに対峙する Anthony Pirog のギターは、やはり他メンバーと価値観を共有するように無駄を省き、過度にヘヴィだったりメロディアスだったりには向かわず、在るべき音色と在るべき手数、飾り気のない生々しいサウンドで勝負。それでも単調には陥らず、硬軟のメリハリのついたアルバム構成、互いの音に食らいつくようにして展開されるセッションのダイナミズムにより、ストイックなようで意外なほどに幅の広さを感じます。特にアコギとストリングスを用いた終曲「The Weaver」の叙情性には唸らされた。これがベテランの意地というやつか。

Rating: 7.3/10



The Messthetics - "Serpent Tongue" (Dischord Records)