アーバンギャルド 「少女フィクション」

少女フィクション (豪華盤)(DVD付)

少女フィクション (豪華盤)(DVD付)

2年4ヶ月ぶりとなる8作目。


例えば古くから人間椅子だったり POLYSICS だったり、デビュー時にどれだけ色モノだとかすぐ消えるだとか言われようが、最終的には生き残ったものが正義なのだという事例。何せやりたいこと、目指すところが最初からバッチリ決まってるもんで、あとはそれを直向きに突き詰めていくだけ…と言葉にするのは簡単ですが、自分が心に決めたものをとことん突き詰められる精神力というのはこちらの想像を絶する厳しさなのかもしれません。彼女らもいつの間にやらデビュー10周年。今回の新作を聴いても思いましたが、本当に変わらない。もはや変わりようがないという感じか。フレンチポップ風味のメロディにゴテゴテしたシンセやバンドサウンドを組み込み、リビドーやらメンヘラやら戦争やらのモチーフを盛り込んでさらにゴテゴテと化した、アーバンギャルドとしか言いようのない味。彼女らは10年前と同じように痛々しく、10年前と同じように刺激的なまま。この有効な濃度を保ったままマンネリズムをひとつのイズムとして成立させるというのは、もはや生まれつき業を背負った者でなければ無理なのだろうなという気がする。10周年おめでとう。

Rating: 7.5/10



アーバンギャルド - あたしフィクション URBANGARDE - ATASHI FICTION

ACID ANDROID 「GARDEN」

GARDEN(初回限定盤)

GARDEN(初回限定盤)

yukihiro (L’Arc~en~Ciel) によるソロユニットの、約8年ぶり4作目。


昨年11月にリリースされた配信版と今回の CD 版とでは異なるミックスが施されており、聴き比べたところ配信版の方は全体的にアタックが強く角張った質感で、CD 版はその角が研磨されて全体的なバランスの良さを意識しているように感じます。とは言ってもほぼほぼ誤差の範囲で、楽曲自体から受ける印象に変わりはないのですけどね。公式インタビューでも述べている通り、これまでのインダストリアル・メタル路線から大きく外れ、Depeche Mode など80年代シンセポップという yukihiro のもうひとつのルーツを開示した内容。何処となくいなたい、しかしコシと粘りの効いたビートと始終冷たさを保ったシンセ類は、確かに少しばかりノスタルジックな雰囲気を匂わせてはいます。ただ激しさを落としたぶんキャッチーになっているかというとそうでもなく、常に虚ろな目をしたような沈んだ空気が通底し、その中で起伏の抑えられたメロディがゆらりと浮遊する、なかなかに玄人向けの渋い味。簡単には聴き手に譲歩しない、我が道を行っているという意味では相変わらずのユッキーらしい作品だと言えるかと思います。ただヴォーカルはやはり誰かに任せた方が…。

Rating: 6.3/10



ACID ANDROID - roses (full ver.)