般若 × ZORN × SHINGO★西成 「MAX」
- アーティスト: 般若 x ZORN x SHINGO★西成,YAKKLE,dubby bunny,DJ FUMIRATCH,XLII,LISACHRIS,DJ FUKU,SHIMI from BUZZER BEATS(D.O.C.),TRAMP,Mr.BEATS a.k.a. DJ CELORY,DJ AK
- 出版社/メーカー: 昭和レコード
- 発売日: 2018/04/29
- メディア: CD
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出身もスタイルもまるでまちまちな彼らが「昭和」の名の下に集う理由は何なのか。この三人に共通する線を探ってみると、やはり「泥臭い」というところではないでしょうか。ヒップホップを音楽性のみならず様式やアティテュードと捉え、ヘイターに中指を立てる一方で仲間には惜しみない感謝の念を表し、自分が考える最も真っ直ぐな男気を貫く、という精神的な部分でこの 3MC は固く繋がっているのだと思います。今回はレーベルの看板を背負ってのリリースなだけに、小細工なしの真っ向勝負。オールドスクールなブレイクビーツはもちろんトラップで最近のフロウも取り入れつつ、やはり三者三様のラップによる軽妙なマイクリレーが実に痛快。目の笑ってないユーモアと本音が詰め込めるだけの早口で激しく交差する般若、コテコテの大阪弁で暑苦しさ全開の人情味を見せるSHINGO★西成、柔らかなフロウと独特の声質でパンチラインをバシバシとキメる ZORN 。単純にラップスキルで言うと ZORN が頭一つ抜きん出ている印象がありますが、もちろん他の二人もごってりしたアクの強さで存在感を誇示。鋭く尖ったトライアングルの妙技を堪能できます。
Rating: 7.5/10
【Official Music Video】般若/ZORN/SHINGO★西成 - ヤメラレナイ [Dir. BABEL LABEL/Pro. dubby bunny] ℗2018 昭和レコード
Grouper 「Grid of Points」
- アーティスト: Grouper
- 出版社/メーカー: Kranky
- 発売日: 2018/04/27
- メディア: CD
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前作「Ruins」はポルトガル滞在時に録音された作品とのことでしたが、今作は米国ワイオミング州に渡って1週間ほどで完成させたそう。ワイオミング州というのがどんな場所か調べてみるとまるで大自然の写真しか見つからないような僻地で、なるほど彼女にとってはインスピレーションを得やすい環境だったのかもしれません。シンセ類は用いず生ピアノと Liz 本人の多重コーラスのみの簡素なアレンジ、そこに教会の聖歌を思わせる深くナチュラルな音響処理を施すという、その手法自体は前作からそのまま地続きのものですが、ただでさえシンプルだった音楽性がここではさらにストイックさを増し、収録されたのはわずか7曲21分のみ。しかしその中に込められた物悲しいメロディ／ハーモニーの美しさは、そのシンプルさ故にもしかすると彼女のこれまでのキャリアで最も純度の高いものかもしれません。「Thanksgiving Song」ではほとんど消え入りそうになるまで音が遠くなり、終曲「Breathing」では列車の過ぎる音の後に静寂だけが残る。ノスタルジックな感傷が一層濃密なものとなった楽曲群は、聴き終えた後には胸の内にぽっかり大きな穴が開いたような心地に。
Rating: 8.2/10
