V.A. 「hide TRIBUTE IMPULSE」

hide TRIBUTE IMPULSE

hide TRIBUTE IMPULSE

hide 没後20周年プロジェクトの一環として制作されたトリビュート盤。


もうこれで何枚目やねん hide のトリビュート。自分が一番最初にリリースされた「SPIRITS」を聴いた時は、当時の出来得る限りのドリームチーム的な参加メンツと多種多様なカヴァーのクオリティにひどく心躍ったものですが、その後手を変え品を変えで幾度にも渡って続いた粗製濫造により、すっかり食傷を起こし熱が冷めてしまった今日この頃。今作においても EDM /ブロステップに改変された MIYAVI「ピンクスパイダー」や、トランスを導入してさらにエッジを際立たせた HISASHI × YOW-ROW 「DOUBT」など、サイボーグロックなる彼の一側面にスポットを当てたカヴァーが目立ちますが、もう何番煎じだという感じ。そりゃ20年も経てば当時よりも過剰なデジ要素を入れることは出来るでしょうが、手法があまりにも画一的で新鮮味を感じない。対照的に敢えてのシンプルなアコースティックアレンジで纏めた Cocco と SEXFRiEND こそが今回の勝者。アイナ・ジ・エンドはこの「BACTERIA」で初めてきちんと歌声を聴きましたが、そのハスキーな声質を駆使した堂々たる歌いっぷりに強く惹きつけられました。まあでも全体的に見れば点数はこんなとこです。

Rating: 4.9/10



「hide TRIBUTE IMPULSE ティザー映像

Oneohtrix Point Never 「Age Of」

AGE OF

AGE OF

US 出身、Daniel Lopatin によるソロユニットの約2年半ぶり8作目。


メタル/グランジから影響を受けながら OPN なりのポップミュージックを目指すというテーマで臨んだ前作「Garden of Delete」は、結果的に彼のキャリア中最も濃密で毒々しいアルバムとなりました。対する今作は綺麗に正反対のベクトルへと向かうように、アコギやハープシコードなど生楽器の音色を全編においてフィーチャーし、滑らかで格調高い美しさを打ち出した内容になっています。特に表題曲「Age Of」や「The Station」など、バロック調のクラシカルな要素を取り入れた楽曲は分かりやすい新境地。上モノの荘厳な雰囲気と OPN ならではの神経症的なエディットによる緊張感が絶妙な相乗効果を見せ、彼の持つ内的世界がまた別の次元に到達したことを明確に表しています。いくら美しい表現に向かったと言っても単純に聴きやすい代物にはならず、中世ロマネスクのエキゾチックな雰囲気に耽溺しそうになったところで気色の悪いノイズコラージュが挿入され、すっかり平衡感覚をなくした音の群れが無軌道な展開を見せる、その裏側に透けて見えるのは Daniel の悪趣味なせせら笑い。あとゲスト参加の ANOHNI や James Blake は何処にいるのか謎なレベル。

Rating: 8.2/10



Oneohtrix Point Never - Black Snow