GLAY 「NO DEMOCRACY」

NO DEMOCRACY[CD+2DVD盤](メーカー特典なし)

NO DEMOCRACY[CD+2DVD盤](メーカー特典なし)

2年3ヶ月ぶりとなる15作目。


TAKURO は今作について「言葉のアルバムを作ろうと思った」と述べていますが、その発言がこれまで以上に固い意志の宿ったものであることは、先行シングル「元号」の時点で十分明らかにされていると思います。時代が平成から令和へ変わるのを機に、昭和の戦争がもたらしたものに思いを馳せ、平成の荒波の中で徐々に変化してきた自身を内省し、新しい時代を生き抜くための在るべき姿勢を綴った、ひとつの決意表明と言える新重要曲。その意識はもちろんアルバムにも引き継がれています。晴れ晴れしい曲調が完全に反語と化した「反省ノ色ナシ」、暗い世相が生々しく反映された「戦禍の子」などは直球でポリティカルだし、その他の楽曲でも「歴史」「時代」「アメリカ」といった単語が表れるたび、一個人の恋愛事情やクダ巻きですらも現代の混沌たる政治情勢と無関係では済まないのだと、思わず仄暗い気持ちに陥りそうになる。ただ彼らがやるのは決してプロパガンダではなく、苦しくとも前を向こうと聴き手の背中をそっと押すのみ。この辺のバランス感覚も含め、彼らの「国民的ロックバンド」としての責任感の強さには本当に敬服する。

Rating: 7.6/10



「氷の翼」Lyric Movie

SHAZNA 「GOLD SUN AND SILVER MOON」

GOLD SUN AND SILVER MOON

GOLD SUN AND SILVER MOON

1993年結成の3人組による、初のフルアルバム。


つい先日も過去の映像がテレビで放送されて Twitter でトレンド入りするなど根強い人気を誇る彼ら。その楽曲を深く理解するための鍵は果たして何処だろうか。それはきっと IZAM が影響を公言する Culture Club を筆頭とする、80年代ニューウェーブ以降のポップシーン(の特に耽美的かつ刹那的な類)にあるはず。彼らの楽曲は基本的に、線の細いヴォーカルや演奏が自然と浮遊感を醸し出し、メロディは意外にゴテゴテした感がない上品なもの。それを主軸としつつアレンジは多岐に渡り、ドギツいダンスビートで攻める「Magenta Story」は Dead or Alive 直系と言えるだろうし、洒脱で陰影の深い「Secret Love」はさながら The Blue Nile 、また「Refrain of Dreams」での幻惑的なギターが織り成す美しさは Cocteau Twins などネオサイケへの憧憬。そもそも「Melty Love」にしたって、モータウン風の伝統的なロック感を敢えて持ってくるというセンスが完全に Culture Club のソレ。90年代 V-ROCK の潮流と自らのルーツを何処まで折衷できるかという挑戦の痕跡が多くあり、これは時代が生んだ「徒花」ではなく、時代に寄り添ったヒットメイカーの「良心」なのではと。

Rating: 7.4/10



SHAZNA — Melty Love PV [HD 1080p]