Poppy 「I Disagree」

I Disagree

I Disagree

  • アーティスト:Poppy
  • 出版社/メーカー: Sumerian Records
  • 発売日: 2020/01/10
  • メディア: CD
米国ボストン出身の YouTuber による、1年3ヶ月ぶり3作目。


YouTuber 界隈に全然明るくないので調べました。そもそもはきゃりーぱみゅぱみゅなど日本の Kawaii カルチャーから大きく影響を受け、エレクトロポップを志向して Diplo や Grimes とコラボレーションを果たしたりしていたのが、共同プロデューサー Titanic Sinclair から心的被害を受けたやらもあって路線変更を目指し、今作の完成に至ったとのこと。余程の思いがあったのか、なんぼなんでも変わり過ぎではというくらい変わっています。ニューメタル以降の切れ味鋭いヘヴィネスやゴス風モチーフを全面的にフィーチャーしており、シャッフル調の「Anything Like Me」では Marilyn Manson 、艶めかしいメロディが印象的な「Fill the Crown」では Korn からの影響を全く隠そうともしていない。この絶妙なゼロ年代リバイバル感だったり、極悪サウンドとキュートなヴォーカルの取り合わせという点では明らかに BABYMETAL への意識が見られたりで、現代の US ユースカルチャーにおいて "日本" と "メタル" がいかにヒップなものとして受容されているかという現況、その潮流をキャッチする当代的な感性が今作にはリアルに表れている気がして、そういった意味で興味深いなと。

Rating: 7.5/10



Poppy - BLOODMONEY (Official Music Video)

Awich 「孔雀」

孔雀

孔雀

  • アーティスト:Awich
  • 出版社/メーカー: YENTOWN / bpm tokyo
  • 発売日: 2020/01/11
  • メディア: CD
沖縄出身のシンガー/ラッパーによる、2年半ぶり3作目。


前作「8」では彼女の持つ多様な表情、例えばいかにもラッパーらしい挑発的な攻めのスタイル、または夫の死別という果てのない悲しみや、残された我が子に対する慈愛、そういった喜怒哀楽の各々を洗練されたサウンドによって均一の質感に仕立て、冷たくも柔らかなムードを通底させることでスムースな流れを構築しているように見えました。それと比較すると、今作での彼女は内なる起伏をより一層ダイレクトな形で伝えようとしています。ハートウォーミングな「Love Me Up」で始まったかと思えば、次曲「洗脳」を皮切りに立て続けで繰り出される喧嘩腰ラップの数々。何だか鋭い爪で引っ掻き傷をつけられている心地がして思わず仰け反る。しかし EGO-WRAPPIN'「色彩のブルース」をサンプリングした「紙飛行機」からは一転し、しなやかな美しさのメロディに乗せて心の弱さ、優しさが露わとなっています。前半に緊張、後半に開放が振り分けられたダイナミックなアルバム構成はまるで一本の壮大な映画を見ているようで、20曲60分のボリュームを無理なくグイグイと聴かせてくれる。この力強さ、鮮やかさこそが孔雀のイメージと合致する、ということか。

Rating: 8.0/10



Awich - Open It Up (Prod. Baauer)