Plastic Tree 「トロイメライ」 「シロクロニクル」 「cell.」 「シャンデリア」


昨日に続いて、プラトゥリまとめの後半です。



トロイメライ

トロイメライ

ドラマーの交代を経て、2年ぶりとなった4作目。


今まではほとんど正氏が作曲してたんですが、今作からアキラ氏の曲が大幅に増加。 Coaltar of the Deepers サポートの経験を生かしてか、 COTD ばりのメタリックな轟音ギターを鳴らしてて、それがバンドに新しい風を吹き込んでいます。今までにもヘヴィな要素はありましたけど、それがよりシャープに、硬質に研ぎ澄まされてる感じ。特に 「グライダー」 「散リユク僕ラ」 は突き刺さるようなアグレッションと彼ららしい切なさが滲み出たメロディ、互いの要素が上手くブーストし合ってる名曲。また重々しくうねるグルーヴが格好良い 「ペットショップ」 「懺悔は浴室で」 、毒々しいリフがインパクト大の 「千葉市若葉区、6時30分。」 と新しい魅力を前面に押し出した曲があれば、 「蒼い鳥」 「ガーベラ」 「雨ニ唄エバ」 など従来のポップさを持った曲もあったりと、その辺のバランスも絶妙。 「Parade」 以降は個人的に食い足り無さが残ることが多かったんですが、そんなモヤモヤを払拭するだけの説得力がある名盤だと思います。


Rating: 9.4/10



シロクロニクル

シロクロニクル

5作目。共同プロデュースに亀田誠治NARASAKI


前作からのメタリック路線を邁進し、さらに喧しくザラついた、良い意味で薄汚れたヘヴィネスが貫かれてます。 「ナショナルキッド」 や 「ピカソごっこ」 ではその攻撃性が特に強調されてる。その一方で 「イロゴト」 「水色ガールフレンド」 「サンデー」 といったポップサイドの楽曲も抜かりなく兼備。個人的に一番好きなのは 「バリア」 なんですが。 COTD の影響がさらに色濃く出た轟音×メロウな曲で凄く格好良い。でもアップテンポの曲がほとんどで、前作と比べると押し引きのメリハリに欠けてて暑苦しさを感じることも。全体的に力業でゴリ押ししてるという印象があります。あとパンキッシュに様変わりした 「もしもピアノが弾けたなら」 は良いのは良いんですが、カヴァーとしてちょっと安易な気が…。その点が少し残念でしたけど、それでも及第点は越えてると思います。ファンであれば十分楽しめるかなと。


Rating: 7.2/10



CELL.(初回)

CELL.(初回)

前作から1年待たずにリリースされた6作目。


枚数を重ねるごとにメタリック要素を消化して血肉に溶かしていってるわけですが、今回はいつもよりメロディが後退してて、そのぶんサウンドの無機質さが目立つ作風になってる気がします。ヘヴィなグルーヴ重視といった趣の 「ダンスマカブラ」 「怪物くん」 、冒頭のエレクトロなシンセが印象的な 「crackpot」 「『雪蛍』」 、さらに 「うわのそら」 ではダンサブルな4つ打ちハウスにも挑戦してたりと、サウンド志向の楽曲が目立つのが今回の特徴ですかね。演奏陣の音がよりシャープでソリッドに向かってるのも無機質さの要因の一つかな。どの曲でもメロディが何だかあっさりしすぎてて、最初聴いたときはイマイチ掴み所がなくて戸惑ったんですけど、何回か聴いてるうちにこういうのもアリと思えてくる…かも。プラの中でも一番玄人向けのアルバムかもしれません。


Rating: 6.6/10



シャンデリア

シャンデリア

また2年近いインターバルが空き、シングル5曲を含んだ7作目。


「シロクロニクル」 「cell.」 と徐々に変化を遂げつつ続いてきたソリッド路線が、ここにきてさらに完成度を高めてきました。1曲目 「ヘイト・レッド、ディップ・イット」 では DJ スクラッチを交えたミクスチャーメタルでいきなり意表を突き、その後も過去最高にアグレッションが冴え渡るメタルチューン 「Ghost」 、THE MAD CAPSULE MARKETS を彷彿とさせる疾走デジコア 「puppet talk」 、軽快ながらもやはりメタリックなギターが冴える 「センチメントマシーン」 と、強く進化を感じさせるハードな楽曲がズラリ。しかしどの曲でもメロディには彼ららしさが貫かれているという。またポップさで言えば牧歌的な優しさが染み渡る 「37℃」 、現在のスタイルで 「Puppet Show」 を演ったような寂寥が響き渡る 「空中ブランコ」 、たおやかで繊細なピアノが切なさを引き立てる 「ラストワルツ」 もツボ。今回はどの曲もちゃんとメロディが立ってるし、緩急も程良くついててのめり込んで聴ける。幅広くアピールできる快作だと思います。


Rating: 8.4/10


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