THE KNIFE 「SILENT SHOUT」
- アーティスト: Knife
- 出版社/メーカー: Mute U.S.
- 発売日: 2006/07/25
- メディア: CD
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暗黒エレクトロニカ。その音は80年代風のチープな感触を残しながらも、えらく低熱に研ぎ澄まされた緊張感で貫かれてます。音数少なめで空間的な隙間を上手く利用したミックスや、淡々と過ぎていく曲調、その中に浮かぶメロディは何処となくエキゾチック風味。そしてそれを歌う女性ヴォーカルはヴォコーダーで加工され、悪戯好きな幽霊が迷い人を嘲笑うかのような薄ら寒さがあります。1曲目 「Silent Shout」 は4つ打ちのハウス曲なんですが、その4つ打ちはグルーヴィに踊らせるためではなく、そのリズム独特のクールネスをホラー感の演出に使うためという。その他の曲もそんな感じで、アガる要素や遊び心があるとしてもその裏側の、聴き手の背筋を正させるダークなムードで浸食されていく。その時のゾクゾクくる感覚はこういったゴシックホラー系ならではのものですね。個人的には中心のメロディが仄かながらもしっかりポップなのと、必要以上に飾り立てないアレンジがこちらの妄想をかき立てる余白を残してる感じで、グイグイのめり込んで聴けました。前述の 「Silent Shout」 や 「Like A Pen」 ではスリリングなスピード感が際立ち、 「Marble House」 「From Off To On」 ではメロディの歪んだ美しさに飲まれる。うむー、これは聴き応えあります。