kamomekamome 「LUGER SEAGULL」

ルガーシーガル

ルガーシーガル

向達郎 (ヌンチャク) を中心とする5人組の、2年4ヶ月ぶりの2作目。


前作は壮大かつ複雑なうねりを見せる長尺プログレ曲の存在感が強烈でしたが、今回はそういうのはナシ。むしろ短めの尺が多くストレートなパンク/ハードコア色の強い作風になってます。特にオープナーに据えられた 「メデューサ」 はブルータリティ全開の直球ハードコア曲で、それが 「前作とは違う」 という主張を前面にアピールしてるよう。そういった肉体性が強化されてるぶん、エモーショナルな気の吐き出しっぷりは前作より劣る気がしないでもないですが、何回か聴くとこれはこれでアリな気がしてきたというか、いややっぱり格好良いですコレ。ストレートと言いましたけどそれはあくまで印象の話で、曲自体は勢いを保ちつつもあれよあれよという間に奇怪な変拍子に突入し、力技で元の位置に着地するという、ギリギリ脱線しそうでしないバランスで蛇行を続ける暴走列車みたいなアンサンブル。 「スキンシップ編」 「ゲルバトル」 では彼らならではのジメジメした毒が強く出てたり、その一方で 「クワイエットが呼んでいる」 「事切れ手鞠歌」 などではメロディの澄んだエモさが切れ味良く突き刺さる。また日常の中の闇を独特の言葉遣いでリアルに切り取った歌詞や、柔らかく何処か木訥としたヴォーカルの味わいは健在で、このバンドの個性は十分発揮されてると思います。傑作。


Rating: 8.6/10
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