M83 「SATURDAYS=YOUTH」

Saturdays=Youth

Saturdays=Youth

フランス出身、 Anthony Gonzalez のソロユニットによる5作目。初めて聴きました。


低音が薄く良い意味でチープなシンセサウンドが空間的に拡散し、シューゲイザーに通じる心地良い浮遊感と暖かい郷愁や切なさをジワリと滲ませるという、80年代ニューウェーブ風ポップス (その中でもかなりメインストリーム寄りの) を現代の手法で蘇らせたような作風。その音は柔らかくファジーな輪郭を持って鳴らされ、それがひどくセンチメンタルなドラマ性に満ちていて自然と涙腺を刺激してきます。 「Kim & Jessie」 「Graveyard Girl」 ではヒットチャートに食い込みそうなほど瑞々しいポップネスが弾け、 「Couleurs」 「Highway of Endless Dreams」 では厚い雲の中をゆっくり突き進むような幻想的な音世界にドップリ浸らせてくれる。80年代の質感をだいぶ忠実に再現してるので今の時代に完全にフィットしてるかと言われると少し疑問ですが、音作り云々を抜きにしても曲自体の求心力が単純に強いと思うし、当時をリアルタイムでは体験してない俺でもノスタルジーと新鮮さが混じり合った感覚でなかなか楽しんで聴けました。


Rating: 8.0/10
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