PORTISHEAD 「THIRD」

Third

Third

ブリストル出身のトリップホップ代表格による、11年越しの3作目。


ジャケとタイトルからはあまりやる気が感じられませんが (笑) 、中身は長いブランクを物ともしないほどの陰鬱さで充満しており、聴き手を身体の芯から痺れさせてくれます。静かに脈打つようなビートは極めてシンプルながら密かに躍動的なグルーヴを携え、そこに被さるギターは優しいアルペジオで流れたり薄汚く歪んだ音を叩きつけたりと柔軟に表情を変えて見せ、その全ての音色/質感が曲のダークな雰囲気を引き立てるのに十分に貢献してる。そして女性ヴォーカルを中心に立てることで歌モノとしてメリハリをつけているんですが、この歌もまた灯りのない密室で独り咽び泣くような負の情念に満ちていて、何だか聴いてるこっちが呪われそうな気分になってくる。比較的アッパーな曲調でスリリングさが強調された 「SILENCE」 「WE CARRY ON」 、曲名通り淡々と銃殺を繰り返すようなビートが薄気味悪い 「MACHINE GUN」 、今作中随一の密度の濃さ/深さで窒息しそうになる 「PLASTIC」 「SMALL」 、また不意を突く牧歌的な小曲 「DEEP WATER」 すらも逆にホラー感に拍車をかける。シアトリカルでいてクール、なおかつ真性の病みっぷりが全ての曲で貫かれた強烈作。


Rating: 9.0/10
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