椎名林檎 「私と放電」

私と放電(初回限定盤)

私と放電(初回限定盤)

シングルのカップリング曲を網羅した裏ベスト的編集盤。


アルバム好きだけどシングルまでは追えてない中途ポーザーの俺なので初耳の曲が多数。カップリングというポジションは習作あるいは実験の場というイメージが強く、林檎さんもご多分に漏れずそういう面があるにはありますけど、やはり濃い。色んな部分を色んな風に歪ませたオルタナポップ 「リモートコントローラー」 「Σ」 等はアルバム曲に負けず劣らずの格好良さだし、完全ジャズの上で偽英語が躍る 「輪廻ハイライト」 、フルオケ従えて仰々しく一大スペクタクルが開花する 「la salle de bain」 なんかでは冒険心全開。そもそも林檎さんの高音がキンキン響く声質はジャズやボサノヴァとあまり相性が良くないはずで、それでも無理矢理同居させたら本来の刺々しさが余計浮き彫りになり、スッキリな曲調をスッキリ聴かせない異形な味わいになっててなお良い。個人的に一番好きなのは瞬殺リフの 「喪 興瑠怒(仮)」 と、アコーディオンの軽やかで優雅な音色 (の裏に過る不穏な影) が素敵な 「愛妻家の朝食」 です。あとほぼ発表順に曲が並んでて、その時代ごとの方向性が反映されてるので音楽的な変遷が何となく分かるという資料的な一面もあったり。


Rating: 8.8/10
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