あらかじめ決められた恋人たちへ 「カラ」

カラ

カラ

大阪出身、池永正二を中心とするユニットの3年半ぶり3作目。


ド頭から石井モタコ (オシリペンペンズ) のスカムな絶叫に面食らいますが、それ以降の音楽性は基本的に変わらず。エレクトロニクスで構築されたレゲエ/ダブサウンドに池永氏のピアニカが乗っかり、日本人らしいノスタルジックな哀愁が目一杯詰め込まれてます。アッパーな4つ打ちビートが印象的な 「よく眠る」 、ダブの持つ深遠なダークネスが強く出た 「silent way」 「引火」 、アコギの乾いた音色がやけに新鮮に響く 「コウカン」 など、無機質な冷たさと人情味のある優しさが混在したような、このユニットならではの不思議な質感が面白いですね。まるで雨の降る路地裏を一人でとぼとぼ歩いてるような、薄暗く肌寒いけど静かに物思いに耽れる感覚。ただ全体通してひたすら湿っぽい路線の一本調子なので、途中で腹一杯になってくるのも正直な所。もう少し寄り道して上手くメリハリをつけてほしかったなーという気もする。でもラストの audio safari 「十数えて」 のあら恋リミックスは、甘美かつ壮大な音響空間がシューゲイザーの領域にまで達した異色曲で、ひどく鮮烈でした。終わり良ければ全て良しということで。


Rating: 7.0/10
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