黒夢 「Drug Treatment」 「1997 10.31 LIVE AT 新宿LOFT」 「CORKSCREW」
黒夢祭りのラスト。より異形に変貌していく後期、最盛期です。
- アーティスト: 黒夢,清春,佐藤宣彦
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: CD
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今回で佐久間氏の手から完全に離れ、止まることなく変化を続けています。前作での打ち込みはほとんど排除され、ソリッドかつラウドなバンド演奏のみをフィーチャーし、全編無駄な贅肉を削ぎ落としたゴリゴリのパンク/ハードコアサウンドになってます。それに合わせて歌詞の内容もかなり過激に。タイトル通りドラッグをテーマにした 「DRUG PEOPLE」 、世の中の矛盾、不満、存在理由などを辛辣に突きつける 「MIND BREAKER」 「CAN'T SEE YARD」 「NEEDLESS」 、 「DRIVE」 に至っては全歌詞自主規制というラディカルさ。以前にも 「カマキリ」 などでシニカルな側面は見せていましたが、完全に甘さと辛さの比率が逆転してますね。それでも清春の聴けば一発で彼だと解る独特のヴォーカルは健在で、もう清春が歌えば何でも OK な勢い。個人的に一番好きなのは、やはり代表曲 「Like A Angel」 か。アルバムヴァージョンは音数が増えててシングルより確実に格好良くなってます。彼らはヴィジュアル系には珍しく男子のファンも多かったけど、これ聴けば理由が解るはず。コアな進化を遂げた快作です。
Rating: 8.4/10
- アーティスト: 黒夢,清春
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: CD
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この頃の彼らは音だけでなく活動スタイルもパンク/ハードコアバンドのソレと化していて、年間100本以上のフルセットライブをこなすようになり、現場で鍛え上げられた成果がこのアルバムにも十分に表れています。純粋に4人の演奏だけで余計な装飾/演出は皆無。どの曲でも音源よりもずっとファストで刺々しいサウンドが熱量を上げて迫ってくる。清春のヴォーカルは独自の色気を感じさせつつ、身体からギリギリ振り絞るようにシャウトを連発する、その様はひどくストイックでカリスマ的な魅力に満ちてます。特に 「FAKE STAR」 「S・A・D」 はこのライブ版の方が遥かに格好良いし、途中で会場のブレーカーが落ちる 「カマキリ」 〜 「SICK」 も臨場感がそのままパッケージされていてひどくリアル。最初シングルの 「少年」 を聴いてからこのアルバム聴いた時は本当に同じバンドかと思ったものですよ。んでラストはその 「少年」 〜 「Like A Angel」 の代表曲2連発。どうしてもグッときてしまう。この頃の彼らの本質が濃縮された内容になってます。
Rating: 8.8/10
- アーティスト: 黒夢,清春,土方隆行
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2009/01/28
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前作から導入されたパンク/ハードコア路線は一層押し進められ、全体的に音の硬さ/鋭さを増強して展開はシンプルに仕上げた、完全にライブ向けの内容。2〜3分台のタイト&ファストな攻撃チューンが大半を占め、甘さや切なさはほとんど無し。性急なビートに超キャッチーなサビが乗った 「FASTER BEAT」 「CANDY」 「ROCK'N'ROLL」 はメロコア、 「HELLO, CP ISOLATION」 はスカ、 「YA-YA-YA!」 ではレゲエも取り入れたりとほぼ完全にラウドミュージック化。もうヴィジュアルのヴの字も見当たりませんが、間髪入れずに連打されるロックンロールで身体を突き動かされるのは間違いないです。90年代後半はヴィジュアル系と HI-STANDARD や KEMURI などに代表されるパンク/メロコア系、2つの大きなブームがありましたけど、このアルバムはその2つの類稀なクロッシングポイントと言えるのでは。海外レコーディングが功を奏したのかソリッドで迫力ある音作りになってるし、今でも古臭さなどを感じず十分聴ける強度を保ってる。シリアスな歌モノのシングル曲 「少年」 「MARIA」 は若干浮いてる気もしますけど、それを差し引いても十分お釣りのくる痛快作。
Rating: 9.2/10
以上で終了です。今現在の若手ヴィジュに最も影響を与えたのは 「亡骸を…」 なんでしょうけど、単純に個人的な好みで言えば 「CORKSCREW」 が一番、次いで 「feminism」 かなーといったところ。正直今聴くと古臭さを感じるアルバムがほとんどだとは思うのですが、清春ほど独特の存在感を持ったヴォーカリストは他にはそうそういないだろうし、そもそもダークヴィジュの雛型に始まり、紆余曲折経て男臭いパンクバンドになったという例を俺は黒夢以外に知らないです。やはりヴィジュアルシーンにおいて異形の存在だと思うので、まだ知らない方はルーツを辿ってみるのも良いのではと。あーそれとあけましておめでとうございます今年もよろしく。