BEIRUT/REALPEOPLE 「MARCH OF THE ZAPOTEC/HOLLAND」

March of the Zapotec/Realpeopl

March of the Zapotec/Realpeopl

Zach Condon を中心とするユニット2名義の2枚組 EP 。


まず前半の BEIRUT 「MARCH〜」 はメキシコのトラッド楽団とのコラボレート作品。大所帯バンドらしい猥雑な賑やかさとジャズ/フォーク由来の枯れた哀愁がごちゃ混ぜになり、20代前半とは思えないほど憂いに満ちたミッドローヴォイスがその哀愁をさらに引き立てる。アコースティック管弦楽器の持つアンティークな味わい深さがフルに活用された素敵な内容です。でも言わば過去の作品の延長線上で予測できる範囲内でもあり、その点で後半の REALPEOPLE 「HOLLAND」 はビビる。REALPEOPLE は BEIRUT 始動以前に宅録で作曲してた頃の名義らしいですが、生演奏はほとんど無くチープで可愛らしいシンセ音主体のテクノポップという予想のはるか斜め上を行く作風。しかしシンセ音が醸す柔らかな浮遊感と本人の歌声は驚くくらいマッチしており、以前とはまた違った質感のノスタルジーを持って輝いています。50年代から80年代に移り変わったというか、レトロフューチャー風味のシンセもこの人が使うと 「レトロ」 の方に重点が入ってるようで面白い。良くも悪くも実験的な内容ですが、以前の作品が好きだった人なら聴いて損はないかと。


Rating: 7.2/10
Links: 【公式】 【MySpace】 【Wikipedia