新居昭乃 「ソラノスフィア」

ソラノスフィア

ソラノスフィア

オリジナルフルレンスとしては4年ぶりとなる新作。


楽曲自体はバンドサウンドとシンセ/プログラミングを掛け合わせたオーソドックスな J-POP ですが、透明感溢れるウィスパーヴォイスと緩やかな曲調が重なって、柔らかくミステリアスな浮遊感を醸し出す。そういった彼女の持ち味は今回も変わらず健在。ただ前作 「エデン」 は冷たく水の底へ沈むような感覚、内省的なムードが全編を支配してたと思うのですが、今作はその逆。同じ浮遊感でもこちらは晴れた空にフワリと舞い上がっていくような、陽性のポジティブな方向へと目線が変わってます。もちろんそれは暑苦しかったり押しつけがましいものではなく、肩の力の抜けた聴きやすさ、風通しの良くオープンな開け方が心地良く耳に馴染む、地に足のついた変化。 「Haleakala」 「ターミナル」 「Wings of Blue」 なんかはその変化が如実に感じられるんじゃないかと。一方中盤の 「ノルブリンカ」 や 「Lhasa」 では従来の冷たさの中に中東エキゾチックな要素も導入し、アルバムの世界により奥行きが生まれてる。個人的に 「エデン」 は緊張感が張ってて良くも悪くも通して聴いてると疲れてくる部分もあったので、今回の方がより好みでした。


Rating: 7.8/10
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