HANNE HUKKELBERG 「BLOOD FROM A STONE」

Blood from a Stone

Blood from a Stone

ノルウェー出身のシンガーソングライターによる3作目。初めて聴きました。


インディロックの生演奏と、身の回りの音を空間的に散りばめたフォークトロニカ。それらが一切の境目なしに融合する中で、本人の澄んだヴォーカルは時に子供のようなあどけなさを見せ、時には力強く翼を広げるように木霊する。北欧出身ならではの幻想的な冷たさと素朴さが入り混じる不思議な感覚もあり、心地良く耳に馴染む高潔ポップソング集です。音響的な実験性が決して頭でっかちな印象にはならず、中心に据えたフォーキーな歌を彩るための仕掛けとして刺激的に響いてくる。オープナー 「Midnight Sun Dream」 では比較的暖かく優しい表情を見せるのですが、そこから曲を重ねるごとにだんだん内省的ダークネスが色濃くなっていき、 「Salt Of The Earth」 に至ってはまるで厚い雲が覆い被さってくるかのようなヘヴィサウンドに思わず圧倒されます。唯一母国語で歌われるラスト 「Bygd Til By」 も7分に渡ってミステリアスなアンビエント空間が展開され、清涼のようでいてひどく濃密。手法としてはそれほど革新的というわけでもないですが、程良くインテリジェントな現在形フォークポップとしてゆったりじっくり浸れます。


Rating: 7.4/10
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