MEW 「NO MORE STORIES ARE TOLD TODAY I'M SORRY THEY WASHED AWAY NO MORE STORIES THE WORLD IS GREY I'M TIRED LET'S WASH AWAY」

No More Stories

No More Stories

約4年ぶりとなる3作目。タイトル長えー。


前作は重厚で険しい印象があったのに対し、今回はシンセやピアノ、クリーントーンなど柔らかく透明感ある音色の比重が高く、そのため本来彼らが持っていたメロディの深遠な冷たさ、ミステリアスな浮遊感が強調されており、緊張感は若干緩んだもののその儚く幻想的なサウンドスケープにはやはり陶然としてしまう。中盤 「Silas The Magic Car」 辺りでは特にその幻想性が深みを増し、余所には目もくれないほどに耽美的でいっそ清々しい。その意味では風通しの良い仕上がりになっていますが、楽曲の作り自体は8ビートの解体/再構築がさらに進行し、よりマニアックで掴みづらくなった部分もあって、一筋縄ではいかないアンサンブルの濃さもしっかり維持しています。 「Introducing Palace Players」 の躓きそうになるリズムとか、良い意味で 「よくこんなのを冒頭に持ってきたな」 と思う。また 「Beach」 「Hawaii」 と彼らのイメージを裏切る衝撃的な曲名もありますが (笑) 、この人達が歌うと何処でも雪が深々と降ってくるような雰囲気になるから面白い。変に軸がブレることなく自身の持ち味を進化/発展させて打ち出した好盤だと思います。


Rating: 7.8/10
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