WATCHMAN 「LOTUSIZE」

LOTUSIZE

LOTUSIZE

大島昌樹 (元 Melt-Banana/Coaltar of the Deepers) によるソロユニットのデビュー作。


ハードコアな出自からは想像もつかないファンシー系エレクトロニカサウンド。以前からもエレクトロ方面への志向を見せてはいましたが今作ではそれが全面的に開花しています。チープで可愛らしいシンセの音色が仄かにセンチメンタルなメロディをなぞり、ほんわかした浮遊感を醸すという点から rei harakamiDE DE MOUSE といった面々を連想するのですけど、バタバタ手数の多いリズム (全て本人の生ドラムとのこと) をひたすらブツ切りにして、テクノサウンドに組み込んでフリーキーに再構築していくというスタイルには所謂マスロック的な印象も強いです。チップチューン×ポストハードコアみたいな面白さの 「MONOLOGUE」 、今作中最もパノラマ的で鮮やかな世界を見せる 「SPRINGPOUR」 、ギターロック色の強さに意表を突かれる疾走曲 「ALIXY」 、最もポップで馴染みやすい感触の 「LOTUS」 といった全9曲。良い意味で肩の力の抜けた遊び感覚が全体にあって、流行に気を配りつつも凡庸では収まらない仕掛けが随所に施されており、一見ほわわんとしてても実は聴き応えアリアリという。その辺ナッキーの作風にも通じそうで興味深いなと。ポスト電子コア演戯。


Rating: 7.8/10
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