TO KILL A PETTY BOURGEOISIE 「MARLONE」

Marlone

Marlone

ミネアポリス出身の男女デュオによる2作目。初めて聴きました。


所謂ポストロックが表現する世界って通例だと美しさとか穏やかさとか、あるいは広大な自然を想起させる険しさとかが強調されてるものですけど、この方々の表現する世界は冥界でございます。全てが荒廃してただ自分一人が取り残された的な、無力感と緊張感が表裏一体でゆらりと流れる陰鬱サウンドスケープ。扉の向こうで鳴ってるみたいにくぐもった響きのピアノ/ストリングス、ギターのフィードバックやエレクトロニクス等によるドローンノイズ、それらが肺の中まで侵食する瘴気のように混ざり合って浮遊し、その中で歌う女性ヴォーカルはあまりにも儚く、優しく、それが同時に狂気的にも感じられる。 「死」 に由来する畏れと甘美な安らぎが渾然一体となった歪な魅力を持っており、演奏形態こそ違うものの個人的には Marissa Nadler や A Whisper In The Noise 等と同じ匂いを感じる。俺はこういう類のものこそをゴスと呼びたいです。真正のお方ならではのディープな病みっぷり、ベクトル内向きのまま膨張して聴き手までも引き込まんばかりの磁場を生み出した、あの世ではなくこの世の裏側。幻想的でありつつリアルな説得力を持って迫る、聴き応えのある一枚です。


Rating: 8.0/10
Links: 【公式】 【MySpace