「いいにおいのする友達を殺してまで。」 @ 鰻谷sunsui


行ってきました。 Vampillia 主催による、神聖かまってちゃん 「友だちを殺してまで。」 レコ発ライブ大阪編。東西のアングラ最新鋭が集った、タイトル通り香ばしさ全開のイベントであります。



会場の sunsui は俺初めて行ったんですけど、心斎橋の少し外れにあるキャパ200程度の小さなライブハウス。もうちょっと大きいと思ってた。ファンダンゴとかに比べると小奇麗なハコで過ごしやすいかな。そしてこの日は8〜9割の人の入り。もしかするとソールドアウトしてたかも?確かにこの日の出演バンドは目下ハイプ中のかまってちゃんを筆頭に、どのバンドも現在のインディーズシーンで明確かつ強烈なカラーを持ったブレイク候補ばかり。この機会を逃す手はないというくらいのナイスブッキングでしたね。開場したフロアではおそらく DJ OKAFXXXX によるものであろう、不思議メルヘンなライムの乗ったヒップホップやらサイケやらディスコやらポストロックやら、禁じ手ナシな選曲なのに奇妙な流れの良さで引っ張る SE 。早速いいにおい。そして6時頃からライブ本編がスタート。以下出演順に感想やらを。



桜重奏サーティーン
姿を見るのも音を聴くのも初めて。大阪出身の女性2人組バンド。かたや和風の喪服に身を包んだギタリスト、かたやカウボーイ風な装いのドラマー。 The White Stripes 的なグランジー・ロックンロールでした。ザックリした厚みと刺々しさのあるギターが雄々しく響き、ベースレスながら薄さはまるで感じない。ヴォーカルが上擦ったハイトーンで挑発的に朗々と歌うのは、昭和歌謡、演歌、あるいはブルーズのエッセンスを感じさせる和風メロディ、そして和風リフ。初期椎名林檎の遺伝子がここでも強い根を張ってるのか…とか思ったけれど、ささくれ立った音の心地良さと、ヤワさを感じさせない緊張感のある演奏が素直に格好良く響いてきました。オリジナリティという点ではやはり先人達の影を背後に見てしまう部分があるものの、純粋にロックンロールのノリの良い旨味みたいなものはこのバンドにも備わってると思います。これからにも期待ですね。



アーバンギャルド
東京よりお越しの5人組。俺は以前にアルバム 「少女は二度死ぬ」 を聴いてて、その時はあまり良い印象がなかったのですね。それはキワモノとしての焦点が定まりすぎた故の狙い澄ました感が強すぎて、ヤプーズほどの業が感じられず底の浅い印象があったから。それじゃライブはどんなもんか。フロントに男女ツインヴォーカルが立ち、男性側はマッドサイエンティスト的な演説調で捲し立てる常時ハイテンションの逆ギレモード。対する女性側は一点を見つめてほぼ無表情、曲中の決められた振りつけ以外はほとんど動かないアンドロイド風の立ち振る舞い。お互い真逆を行く形で各々のキャラを確立してる感じ。多分この男ヴォーカルが中枢を担ってるのだろうな、バンドの持つ世界観を一手に引き受けて 「おセックスは好きですかー!」 とか問うたりコンドーム投げつけたり、挙句の果てに 「マクドナルド・ラブ」 なる詩を作って感情豊かに 「男のビッグマックが女のアップルパイにー!」 とか叫び出した暁にはもう 「お前の親は可哀相だ」 と言わざるを得ない。しかし分かりやすい振りつけと大勢のキューピーが空を飛ぶ映像、また縫いぐるみのはらわたやシャボン玉飛ばしたりと、B級エンターテインメントとして細かい演出にまで凝ったショウアップステージはなかなか楽しいものでもありました。曲自体はやっぱり大したことないんだけど、パフォーマンス混みで見るべきバンドなのだなと。



HONOSHION
ごめん上には上がいた。こちらは名古屋からお越しの、インディーズアイドル安穂野香と春詩音の合体ユニット。安穂野香は全国ネットのバラエティにも出てるらしいので知ってる人は知ってるでしょう、リアル妖精さんです。どう見ても40過ぎのオッサンとB級アイドルがセーラー服着て、自作のオケに合わせてヒラヒラ踊って歌ってる、ただそれだけなのにここまで狂気というものが表現できるもんなのか…!オフィシャルサイトも手作り感満載のシンプルさ故に狂気が際立ってるので一回覗いてみると良いよ。穂野香ちゃん MC に入るとオネエでも何でもなく本当に普通のオッサンだし (忙しない口調でひたすら下手に出る系) 。春詩音は春詩音で 「おっしおー☆」 の決め台詞以外妙にしどろもどろで見てるこっちが心配になる。しかも振りつけとかテキトーすぎてマイクのコード絡ませてるわで超グダグダ。もうシュール以外の言葉で括るのが不可能な異窓の情景でした。腹いてぇwwwwwwwww



Vampillia
本日の主催者であります。大阪発の大所帯集団。昨年の初音源 「sppears」 が短いながらも異様に密度の濃い内容で、この日のライブも楽しみにしてました。まずステージに最初に現れたのは…バニーガール。誰?マドンナみたいなポップ曲に乗ってダンスを踊ってたらサイキック山梨登場。髪をモヒカン状におっ立て、顔面をパレットにしたドギついメイク。何故かバニーガールと一緒に踊り出し、最後は血糊をバニーの顔にダラダラ垂らして終了。謎すぎる寸劇…。いい加減この手の香ばしさにもはや麻痺してきた感すらあるわ。


しかし他のメンバーがぞろぞろ登場してからは、もう怒涛の勢い。ヴォーカル×3、ギター×2、ヴァイオリン×2、ピアノ、ベース、ドラム。総勢10人がステージ上に所狭しと並び、鳴らされるのはヘヴィメタリックな濁音と超高速ブラストによる苛烈なアグレッション、と思いきや Gogol Bordello みたいなジプシーパンクにシフトしたり、底無しのダルな凄みを聴かせたドゥームサウンドだったりと、まるで先が読めない。しかもそれらがほとんど曲間なしで繋ぎ合わせられ、約40分をフルに使った組曲のような構成。その中には 「sppears」 収録曲もあり、特にここぞという所でのキラーチューン 「heyoah」 投下は燃えた。デス声担当のモンゴロイドは狂った表情でガリガリ丸太を削ったり独り言を呟きながらダイブしたり、その一方で女声担当のヴェラドンは妖艶なオペラファルセットを聴かせ不敵な笑みを浮かべる。美と醜が激しく交錯するサウンドとステージング。このインパクトは間違いなく彼らならではのもの。そしてラストは不意打ちノイズ 「setinarepce」 でドシャメシャに破壊して終了。ある意味大阪らしいゴテゴテした装飾過多なパフォーマンスの目まぐるしさと、ゴシック/ブラックの淫靡さ、獰猛さ。こちらの期待を上回る鮮烈なアクトでした。



神聖かまってちゃん
本日の大トリ。一番の期待であり一番の不安材料。俺も YouTubeニコニコ動画で彼らのライブを沢山見ましたが、まー総じて良い印象は抱けなかった。それは演奏というよりも進行の面で。無駄にダラダラ MC 長くしすぎて曲が始まらないというパターンが多くて、それでテンションが下がるというのは非常に勿体ないし、あまり内輪ウケなムードを流されてもこっちはキツいよなーという心配が大きく、もうほとんど怖いもの見たさの心境でした (つかこの日のメンツ全て怖いもの見たさ含みだけど) 。セッティング終わった時点ですでに10時を回っており、さすがに体力的に疲れがきていたのと、スタート前の SE が何故か異様に不穏なアヴァンノイズで気持ちがどんどん萎んでいく…と思ったら不意に入場 SE のクレヨンしんちゃん初期 OP 曲が流れ、メンバー登場。みんな本当にその辺の大学生みたいな素朴さで、特にヴォーカルの子は小学生がそのまま身体大きくなったみたいだった。


結論から言うと、非常に良かったです。それまでのメンツが濃すぎたのもあって、意外にも一番安心して見れたくらい。おそらくこのバンドのライブの良し悪しは全ての子次第だと思うんですけど、この日のの子はかなりテンション高かった。ニカーっと笑顔を見せたり目をカッと見開いたり、壊れたように頭を振ってはガリガリギターをかき鳴らし、 MC でもよく喋る。メンバー弄りも多かったけどグダグダになるような話ではなく、即興でラップしたりしてテンションを切らせずに客を煽る。ギタースタンド放り投げとダイブくらいで大きな事件も起こらず。演奏内容は 「友だちを殺してまで。」 の曲を中心に未音源化の曲もチラホラ。どの曲も客の盛り上がり方が半端なかったんですよね。それまで棒立ちだった人たちもみんな跳ねる跳ねる。新譜の曲はもちろん 「美ちなる方へ」 や 「怒鳴るゆめ」 といった未音源化の曲でも漏れなく盛り上がってたのは、彼らの戦略勝ちだろうな。デモの状態でも曲と映像が出来ればすぐネット上にアップする、そのフットワークの高さが確実に功を奏してる。演奏自体も新人ならではのはっちゃけた勢いがあり、多少の荒っぽさも気にさせずにノリ良く楽しませてくれた。そして 「ロックンロールは鳴り止まないっ」 はもはやアンセムですね。皆でドゥーダー大合唱。


ライブハウスの定刻ギリギリでアンコールも実現。パーカッションの音が異色な 「自分らしく」 。これも彼ららしい良い曲。演奏後の子は最後に 「今日のライブはお客さんがベストアクト!愛してます!」 と言って去った。これだけポジティブなの子って実は珍しいんじゃなかろうか。同じ日の NHK で全国放送されたあのやる気ゼロなパフォーマンスとは違って (笑) 、最後まで熱量で押し切り、短い時間でフルに体力を使った、純粋に良いと言えるライブでした。こちらも完全燃焼。しかしですね、まだ聴きたい曲が沢山あるんですよ。対バンイベントだから仕方ないけど、 「ぺんてる」 も 「天使じゃ地上じゃちっそく死」 も 「黒いたまご」 も今回聴けなかった。なのでまた近いうちに足を運ぶと思います。同じようなテンションで演ってくれる保証は何処にもないですがね (笑) 。



そんな感じで、全て終わったのが11時!約5時間にまで渡る結構な長丁場イベントでありました。ドッと疲れたけどいいにおい沢山嗅いで満足の心地なのでしたとさ。