ジギタリス 「Ars Magna 〜大いなる作業〜」

Ars Magna(アルス・マグナ)~大いなる作業~

Ars Magna(アルス・マグナ)~大いなる作業~

2004年結成の4人組による、約2年半ぶり3作目。


前作 「SYZYGIA」 では下北系ギターロックを基盤に哲学的/古代神話的なモチーフを織り交ぜて独自の世界観を展開していましたが、今回はその哲学世界をさらに深く広く拡張し、単なるギターロックではまるで括れなくなったアクの強い内容となっています。重厚と清廉を行き来しつつテクニカルな変拍子も随所に絡めるアンサンブルの巧みさに加え、ピアノ/ストリングス/シンセの効果的な導入によって一層密度の濃くなった楽曲群。場面によってはクラシックやトラッド、あるいは70年代プログレ/アートロック方面からの影響も色濃く感じられる。その上に Kate Bush が憑依したとしか思えない演劇的ヴォーカルが豊かな表情を見せ、サウンドの濃さをさらに引き立てています。オペラチックな朗らかさが幾重にも重なって木霊する、大きな翼を広げて舞い踊るような歌声。そういった濃さの裏側にメロディのポップさが引っ込みがちな気もしますが、独自の世界を構築することに一点の妥協も見せないその姿勢には確固たるポリシーが感じられ、聴いていて実に痛快なものであります。偉人からの引用満載なブックレット、ウェブコンテンツも含めたトータルコンセプトで魅せる思想の深淵。


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