ARIEL PINK'S HAUNTED GRAFFITI 「BEFORE TODAY」

Before Today

Before Today

ロサンゼルス出身、 Ariel Marcus Rosenberg を中心とするユニットの新作。初めて聴きました。


閉じられた世界。これまでもずっと宅録で音源を作り続けていたとのことですが、スタジオ録音した本作でもそのベッドルームで熟成発酵したような空気感が溢れ返っています。ファンキーな躍動感やノスタルジックな感傷がカラフルに瞬き、キッチュなシンセ/コーラスもふんだんに塗した80年代テイストのキラキラポップス。それがローファイでサイケデリックな風通しの悪い密室に閉じ込められ、外の世界の時流とかまるで気づくことないまま成長してしまった感じ。オルタナティブな爆音が突如斬りこんでくる 「Butt-House Blondies」 に至っては何の冗談か。うーむ、昨年の Girls とか聴いた時も思ったけど、これだけポップなメロディなのにまるで外に向いてる感じがしないのはどうなのか。なんか自分でギャグ言って自分だけがウケてる人を見る時のような、目に見えない隔たりを音楽にまで感じるのは正直心苦しいものがある。そのディープな空気の作り方がミステリアスなスリルや心地良さなどではなく、スノッブで頭でっかちな嫌らしさに転じてしまってるのが痛い。ごめんけどこれはちょっとノーサンキューでした。


Rating: 5.0/10
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