やけのはら 「THIS NIGHT IS STILL YOUNG」

ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング

ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング

様々なアーティストのリミックスや客演をこなす DJ /ラッパーの初フルアルバム。


ちょい遅れてきた今年の夏の決定盤。肩の力の抜けた自然体で自由に言葉を綴るラップと、キッチュでライト、かつ都会的な洗練を受けたエレクトロ・ヒップホップ。 SE を挟んで大きく3部に分かれるアルバム構成ですが、序盤では音楽で騒ぐ刹那的な開放の楽しさ (と刹那であることの悲しさ) を伝える 「ロックとロール」 、内省的な翳りさえも心地良く沁み渡る 「自己嫌悪」 が秀逸。中盤 「NIGHT & NIGHT & YOU」 などでは水の中に身を任せるような不思議な浮遊感を前面に出し、終盤では夢の終わりを告げるような切なさと爽やかさに溢れた4つ打ちチューン 「BYE BYE BYE」 があまりにも眩しい。総じて夏のダンスフロアを軽やかに、鮮やかに彩るヒットナンバーが目白押し。清々しくスウィートなポップネスと、軽快でルーズなグルーヴの心地良さが全編に貫かれており、聴いていて実に気持ち良い。ヒップホップのマナーを踏襲しながらその枠に留まらず、純粋にポップスとして秀逸な出来栄え。 「Rollin' Rollin'」 も七尾旅人の新譜より今作の中で聴いた方がしっくり流れに収まってると思う。夢は覚めてもまた見れるから、楽しんで生きていこうか。


Rating: 8.6/10
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