ROSE ELINOR DOUGALL 「WITHOUT WHY」

Without Why

Without Why

The Pipettes のシンガーソングライターによるデビュー作。


アイドルからアーティストへの華麗な転身…とか書くと何故だかあまり良いイメージが浮かばないですが、彼女は良い例じゃないかと。サマソニ出演時にキッチュな服装でパタパタ飛び出しヒラヒラ踊っていたあの姿は何処へやら、すっかり落ち着いて大人びたシックなムードを醸し、メロディと歌だけでも十分に聴かせられる 「シンガー」 となりました。音的には The Pipettes との共通項も多いであろう、60年代オールディーズ的な意匠の洒脱さを仄かに見せつつ、90年代ギターポップ風の牧歌的な感覚もあり、なおかつ奥行きのある音響性が現代的なクリエイティヴィティをアピール。それらが伸びやかで気品のある彼女の歌声を主役に引き立て、流麗なハーモニーとなって流れる良質インディポップサウンド。ミステリアスな深みと肩をすり抜ける風のような疾走感が心地良い 「Start/Stop/Synchro」 で始まり、物憂げにビターな甘さを靡かせる 「Third Attempt」 、一転してギターロック的な躍動感を見せる 「Carry On」 、ノイズ/ドローンのような実験性を取り入れた 「Watching」 など様々なアプローチがあり聴き所は満載。これからにも期待を十分に抱かせる佳作ですね。


Rating: 7.6/10
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