emmuree 「灯陰」


1999年結成の4人組による、フルレンス2作目。初めて聴きました。


ダークネス・オブ・ロマンス。いかにも好物なのに不覚にも完全にスルーしていた。曲構成やメロディには90年代ダーク・ヴィジュアル系の最も良質な部分を継承しており、場面によっては懐かしさすら覚えるのですけども、決して単なる先人のコピーペーストには終わっていません。淫靡な妖しさ、そこはかとない哀愁がゆらりと纏わりつく、毒気に満ちたムード。鋭くザラついたギターサウンドは奇妙なノイズを纏いながら攻撃的に刺さり、翳りのムードと同化してネットリとへばり付く。奥行きのある音響処理も巧みに取り入れつつモノトーンに徹したその音は、ヴィジュアルポップの基盤を持ちながら80年代ゴシック/ポジティブパンクへの憧憬も感じさせます。その点では MUNIMUNI と共通するものがある。でも何処までがネタだか分からない MUNIMUNI とは違い (笑) こちらは至って本気、真面目ですけども。メロディの憂いが特に良い形で表現された 「ジザスカ」 「灰色の空の下で」 「angel's watercolor」 などは第1次〜第2次ヴィジュアルショッカー (特にインディ好き) には少なからず響くものがあるはず。マイペースな活動だからこそこのクリエイティヴィティがあるのかしら。


Rating: 7.4/10
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