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jónsi JAPAN TOUR 2010 @ なんばHatch


ライブハウスに多くの花が咲きました。



今年初のソロアルバム 「Go」 をリリースした Sigur Rós のヴォーカリスト Jónsi 。そのアルバムが非常に素晴らしい内容だったので、今回の来日ツアーもすかさずチェック。単独公演狙ってたのでサマソニスルーして正解だったなー。なんばハッチは当然のように満員。客層は男女半々、若い人を中心に比較的バランスの良い分布。


フロアに入るとストリングス主体の前衛クラシックとでも言うべきポストロック調の SE 、そしてステージバックには冬の樹海をイメージした大きな垂幕が。この時点でこう、何かしらの大きな衝撃を受けるような予兆がひしひしと。ほぼ定刻に場内暗転し、現れたメンバーは5人。ヨンシーは上の写真のような、この世ならざる世界のトラッド衣装のようなカラフルでファンタジックな出で立ち。思ったよりも長身で猫背。各メンバーがキーボードやマニピュレートなど楽曲毎にパートチェンジするフレキシブルスタイルで、その中には今までに見たことのない機材、見たことのない奏法も見受けられました。


まずはヨンシーがアコギを抱え、シンプルなフォーク調の新曲からスタート。序盤はアコースティック楽器の柔らかな音色、環境音的なフィードバックなどを交えた 「静」 サイドの楽曲が並び、徐々にその世界の奥行き、横幅を広げていく。バックの幕はスクリーンとなり、草木が生えて蔦が絡み、食物連鎖を繰り返す動物が現れては消え、やがて侵食されて火がつき、無に帰る。自然の美しさと険しさを表現した荘厳なイメージ。そういった映像と照明の光、鳴らされる音とのシンクロニシティ。時にはインスタレーションかとも思えるほどの同調を見せ、ゆっくりと観客の意識を惹き込んでいく。


その荘厳さが良い意味で破られるのは中盤、 「Go Do」 を皮切りに繰り出される 「動」 サイドの楽曲群。ヨンシーのソロ作、またシガーロスの近作でもパーカッシブなリズムを強調した作風が目立っていましたが、このライブに置いてもそういったリズムの躍動感がハイライトでした。秋・冬を越えて、春を迎えた色鮮やかな草花、動物が眠りを覚ますように、鮮やかに弾ける音のインパクトはあまりにも鮮烈。 「Go Do」 「Boy Lilikoi」 「Animal Arithmetic」 の流れは完璧の一言。ステージを右から左へ動きまわり、時には鳥の鳴き声のようなシャウトまで飛び出す意外にもアクティブなヨンシー。目一杯の多幸感から自然と誘発されるハンドクラップ。目映い光を切り開くパワフルさがあり、優しさがある。あの瞬間は本当に頭の天辺から痺れました。またアンコールラストで放たれた 「Grow Till Tall」 は残りの力を全て出し切ろうとせんばかりのアトモスフェリックな轟音。ポストロッカーとしての出自を明確に示すその圧倒的フィードバックノイズはそれまでの悲喜交々を洗いざらい一掃するかのようで、清々しいカタルシスすら感じられました。


ヨンシーの歌声は CD で聴く時とはまた別の魅力があったように思います。よく 「天使の声」 と形容される、中性的で柔らかく伸びやかなファルセットヴォイス。そこにやや低めの表声が加わると、実態のない幻想や理想ばかりではなく、地に足のついた人間らしい渋味、哀愁のようなものも感じられる。 「僕は天使じゃないよ」 じゃないですが、純白ではない生々しさ、血の通った暖かさと血をなくす時の冷たさ、それらが混在してパノラミックに広がり、世界を構築してるような。表しか見えてなかった像が眼前に現れたとき、側面や裏側も見えるようになったと言うか。だんだん言ってることがわけわかんなくなってきたな。


最後のカーテンコール含めて約1時間半。本当にあっという間の、夢みたいな出来事だったと思う。


他所から拝借したセットリスト↓
1. Stars In Still Water
2. Hengilas
3. Icicle Sleeves
4. Kolnidur
5. Tornado
6. Sinking Friendships
7. Saint Naive
8. Go Do
9. Boy Lilikoi
10. Animal Arithmetic
11. New Piano Song
12. Around Us
(アンコール)
13. Sticks And Stones
14. Grow Till Tall