LUNA SEA 「LUNA SEA」 「IMAGE」 「EDEN」 「MOTHER」


昨年のラストと今年の初っ端をルナシーのライブで飾り、未だに頭が正月ボケならぬルナシーボケしているところの俺ですが、完全復活したこの機会に彼らが過去に発表したカタログを総ざらいしてみたいと思います。その前半、初期4枚です。



LUNA SEA(DVD付)

LUNA SEA(DVD付)

1991年発表、唯一のインディーズ作となる初フルアルバム。


当たり前と言えば当たり前なんですが、若い!この頃はさすがに楽器隊の音作りもペラさが目立つのですが、ディストーション×クリーンといったツインギターの対比、ヒステリックでノイジーなギターソロ、ヴァイオリンの優雅な響きを取り入れるなど、サウンドにおける彼らの個性はこの頃から見受けられます。あとはもう若さ故の初期衝動で突っ走るといった感じで、とにかく荒削り。エクスタシーというレーベルのカラーも関係してるのかもしれませんが、パンキッシュとも言えるバタついた疾走感、キャッチーなコーラス、アグレッシブに攻める姿勢は今聴くと逆に新鮮でもあります。 RYUICHI のヴォーカルも喉を擦り切らすシャウトがまだ RAYLA の面影を残してたり。2分未満のショートナンバー 「FATE」 を皮切りに、メインの位置を占めるのはライブ定番曲の 「TIME IS DEAD」 「PRECIOUS...」 といったアッパー曲。また妖しいダークネスが絡む高速ビートでさらに激しさを増す 「SHADE」 「CHESS」 の作風は黒夢を筆頭とする後の所謂黒系に引き継がれたものですね。磨かれる前のダイアモンドといった感じで、彼らの美意識の源流は確かにここに存在します。


Rating: 7.0/10



IMAGE(DVD付)

IMAGE(DVD付)

1992年発表のメジャーデビュー作。


前作のダークな荒々しさを引き継ぎつつ、メジャーということで演奏技術や録音環境の充実により、バンド全体が幾分か洗練された印象を受けます。オープニングを飾る 「Déjàvu」 は目まぐるしく変化するリズムと多彩なギターサウンドのヴァリエーションで惹き込む、初期の代表曲にしてヴィジュアルショッカー国家その1。もうこの曲だけで何度打ち震えたことか分からん。もちろん他の楽曲においてもサウンドの練り込みはグッと増し、曲調の幅も広がりと真っ当な進化を遂げています。アコギを導入して妖艶なムードを醸し出す表題曲 「Image」 、一転して HR/HM 調の緊迫したヘヴィネスが圧し掛かる 「SEARCH FOR REASON」 、また一転して歯切れ良く軽快に跳ねるリズムが印象的な 「IMITATION」 と、曲が変わるたびに方向性も大胆に変えて予想を裏切ってくる流れも面白い。また終盤には女性コーラスやヴァイオリンが追加されて一層神秘的な深みを増した 「MOON」 、そしてラストは優しく可愛らしいライブ定番のポップチューン 「WISH」 でシメ。彼らの持つセンスがより密度高く結実した傑作です。


Rating: 8.4/10



EDEN(DVD付)

EDEN(DVD付)

1993年発表の3作目。


ここで最も耳を惹くのは透明感、浮遊感といったポップで優しい側面。ギターサウンドはさらに複雑かつ密接に絡み合うようになり、より厚みを増して聴かせるのですが、比較的クリーントーンへと比重が寄っているため、アップテンポな疾走曲でも以前のような刺々しさではなく、ふわりと身体が浮かぶような心地良さを一番に感じる。そのぶんメロディのポップさもより深い翳り、切なさを感じさせる気がします。先行シングル 「BELIEVE」 や 「ANUBIS」 はそういった浮遊感と従来の性急なスピード感を上手く融合させた秀曲だし、 「IN MY DREAM (WITH SHIVER)」 は大きく翼を靡かせるような壮大なスケール感を打ち出した新境地。また 「RECALL」 で見せるミステリアスなムードは Cocteau Twins などのドリームポップに通じる面も。そしてこの作品のハイライトは 「Providence」 。優雅なヴァイオリン、繊細に爪弾かれるアコギ、アンビエント風の奥行きを持ったシンセ類がワルツのリズムに添えられた、短い尺ではありますが彼らの表現の最深部を見せる異色曲。ルナシーのキャリアの中では過渡期に当たる少々地味な内容ですが、聴き所は多いです。


Rating: 7.6/10



MOTHER(DVD付)

MOTHER(DVD付)

1994年発表、初のオリコン首位を獲得した4作目。


奇跡が起こった。この作品には初期の荒々しさと前作で見せた柔らかさのどちらも封じ込まれていますが、ただの足し算では終わってない。 1+1 が何倍にも膨れ上がってます。ヴォーカルの説得力、多彩で緻密なギターワーク、タイトに引き締まったリズム隊の強靭さ、全てが段違いにレベルアップ。オープナー 「LOVELESS」 は滑るような疾走感と幽玄なギターサウンド、フッと視界が開けるように広がるメロディの心地良さが一体となり、一層スケール感の増した彼らの音世界へと誘う名曲。そしてお馴染みヴィジュアルショッカー国家その2 「ROSIER」 、重心を低く保ったヘヴィグルーヴが痺れるほど格好良い 「FACE TO FACE」 、今までありそうでなかった壮大で力強いバラード 「GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜」 、彼らがアグレッションを信条とするバンドであることをアピールする 「CIVILIZE」 「IN FUTURE」 、そして大空に溶けるように物悲しい歌声が木霊する表題曲 「MOTHER」 。曲毎に見せるサウンド、構成、情感の密度、どれを取っても思わず唸らされるほどの完成度。ヴィジュアル系に限らず数多のロックバンドに影響を与えたであろう名盤です。


Rating: 10.0/10


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