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友川カズキ 「映画 『友川カズキ 花々の過失』 公開記念ライブ in 大阪」 @ 心斎橋JANUS

LIVE


「魂」 と書いて 「うた」 と読む。一歩間違えれば何とも演歌チックな、旧時代的で気恥ずかしい表現ですけども、俺は今回のライブでその 「魂」 を見た気がしました。




70年代にデビューして以来、マイペースながら60歳を過ぎた今でも第一線で活動し続けるシンガーソングライター、友川カズキ。最近はヨーロッパなどでも公演を行い、 Mogwai や Arcade Fire のメンバーからも絶賛されているとか。俺がその存在を知ったのは数年前、確か YouTube か何かで 「生きてるって言ってみろ」 の演奏シーンを見たのがきっかけでした。古い画面越しからでもビシビシと伝わるその存在感に一発で撃ち抜かれ、是非一度は生の姿を見てみたいと思い、今回ようやくその願いが叶ったのでした。


会場となるジャニスは小奇麗なビルの5階にある新しめのライブハウスで、梅田の Shangri-La がより開放的になったようなフロア。この日は椅子とテーブルが出ていたのもあって、さながらダイニングバーのような洒落た雰囲気。立ち見が出るほどの人の入りで、客層はもちろん中高年の方々がメインなのですが、思った以上に若い人も多い。おそらく3〜4割くらいは20〜30代の若い人たちだったんじゃないかな。この幅広い客層は彼のスタイルが経年による劣化などを物ともしない、どの世代にも新鮮な刺激として映る強靭さの証明ではないかと思ったり。


定刻を10分ほど回ったところで、全身黒のスーツを着た御大が登場。この日は鍵盤/マンドリンに永畑雅人 (PASCALS) 、ドラムに石塚俊明 (頭脳警察) 、ゲストとしてヴァイオリンにイガキアキコ (たゆたう) が参加の4人編成。1曲目に放たれたのは 「ピストル」 。この時点で完全に会場全体の空気が彼に掌握されました。時に激しく、時に優しく物悲しい音色を奏でるピアノ、旋律というよりノイズに近い音で狂おしさを演出するヴァイオリン、フラグメント化したリズムの断片を直感的に散りばめるドラム。そしてアコギを鋭くかき鳴らし、身体中の気力を振り絞って出すような絶唱を聴かせるヴォーカル。その鬼気迫る感情表現の説得力は思わず背筋を正されるほどであり、こちらはただ固唾を飲んで見入るしかありませんでした。またそういった激しさがある一方で、 「一人ぼっちは絵描きになる」 などの訥々と歌われる寂寥、フォークならではの哀愁の柔らかさもまた格別の味なのですね。


御大は脇にセットされた酒を飲み干しては汲み、ぼやきともつかない話をする。フォークの人って基本的に MC が饒舌というイメージがあるのですが、彼も意外なくらい気さくによく喋ってくれるのですね。ただその内容はどれもこれもギリギリすぎるものばかりでしたが (笑) 。競輪の話とブラックな話ばっかりだった気がする。いちいち面白かったけど全部書き出すとキリがないので割愛します。ただ彼の口からオシリペンペンズの名前が出たのはビックリした。衝撃だったらしい。セットリストもその場で曲を決めてメンバーに伝えるという感じだったり、ギターを取ってもまだ喋り続けたりと彼のペースに合わせた緩い進行。それでもギターを構えて歌いだすと別の人格が出てきたみたいにギアチェンジして鬼のような歌を聴かせるのだから、この人の魅力というのは底が知れない。


終盤では少々変化球もあり。自ら 「これは盗作です」 と明言した (笑) 「この世を踊れ」 は洒脱な物悲しさが漂うワルツ曲。そして 「一切合財世も末だ」 ではそれまで無軌道に徹していたドラムが規則的な4つ打ちキックを叩き出し、一気にロック的な躍動感が増加。御大もそれに呼応して唸るように声を上げ、演奏は一層苛烈さを増していく。音の渦が立ち昇り、最後の音が消えた瞬間はもう、美しいという他なかった。


リビング・レジェンドなどと言うとおそらく彼は嫌がるかもしれませんが、正しく伝説、生き様という感じだった。本当に見れて良かったです。


余所から拝借したセットリスト↓
1. ピストル
2. 井戸の中で神様がないていた
3. 犬は紫に噛み砕かれる
4. 青い水、赤い水
5. 青いアイスピック
6. 花あそび
7. サーカス
8. 明るい耳
9. 夢の総量
10. 先行一車
11. 2010、夏、オガ
12. 一人ぼっちは絵描きになる
13. この世を踊れ
14. 訳のわからん気持
15. 一切合財世も末だ
(アンコール)
16. 海みたいな空だ
17. 水には映らない
18. 湖上