女王蜂 「魔女狩り」

魔女狩り

魔女狩り

神戸出身の4人組による、初の全国流通リリース作品。


薔薇と棘。網膜に突き刺さるようなドギつい出で立ちは性別の垣根を越え、美の概念を更新する。ジャケットデザイン含め、これでもかと言わんばかりに記名性をアピールする確信犯的なヴィジュアル。装丁だけでも彼女たちのしたたかさ、不敵な自信を感じさせます。楽曲はギターもシンセも歪みまくった爆裂オルタナサウンドにコテコテの昭和歌謡メロディが乗っかり、生と性と死が手のひらで弄ばれるように歌われる。逃げられれば追い詰めたくなるし、捕まえられそうになると手が震えると。 「80年代」 は二度と戻らない刹那の狂騒であり、 「90年代」 はその残滓であると。彼らを構成するファクター 「ラウド」 「昭和」 「オカマ」 は実のところ要素としては決して目新しいものではありません。しかしここには狙い澄ましたような単なるイロモノの枠を超える、カルマにも似た表現衝動があり、仄暗く粘っこい背徳の影がキッツい香りを放ってる。毒々しい原色のミラーボールが目に浮かぶ 「火の鳥」 、不穏なピアノの音色が悪夢のように纏わりつく 「フランス人形の呪い」 など8曲。スタイルは堂に入ってるけど完成型ではない。これからさらに化けそうな余白も感じさせる。末恐ろしや。


Rating: 8.6/10
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