Prefuse 73 「The Only She Chapters」

The Only She Chapters [解説付・ボーナストラック収録 / 国内盤] (BRC291)

The Only She Chapters [解説付・ボーナストラック収録 / 国内盤] (BRC291)

Guillermo Scott Herren によるソロユニットの、オリジナルフルとしては2年ぶり6作目。


個人的に彼の作品を聴くのは 「Security Screenings」 以来か。随分と間が空いてしまったものだから、かつて俺が知っていた場所にはもう彼はいない。自在にカットアップされたビートを歪に繋ぎ合わせる実験的ヒップホップが彼の一番の個性でしたが、ここではその手法はナシ。アトモスフェリックなシンセ音、柔らかな女性ヴォーカル、神経質なリズムがより一層アブストラクトに向かって紡がれ、その結果生まれたのは何やら呪術的でダーク、ゴシックと言っても良いかもしれない不穏なムード。そんな先の見えないミステリアスな音像が煙のように立ち込めています。今作のテーマが 「女性」 という彼の意図は、宿命の女がこちらを妖しく手招いて深い森へと誘う、というイメージに繋がる感じでよろしいかしら…貧困な想像力で申し訳ないが。 「The Only Valentine's Day Failure」 で不意に挿入されるノスタルジックで優しいメロディ、 「The Only Hand To Hold」 での聖性と陰鬱が表裏一体と化す歌声、 「The Only Repeat」 での恍惚感すら湧いてくるレイヤーの重層と浮遊感など。聴いてるうちに Jackson and His Computer Band を思い出したり。


Rating: 7.0/10
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