Arctic Monkeys 「Suck It And See」

Suck It & See

Suck It & See

1年10ヶ月ぶりとなる4作目。


1st が出たときはハイプだとばかり思ってたけど、彼らはこちらが思ってる以上にタフなバンドのようです。その 1st の頃のような捲くし立てるスピード感、初期衝動的な勢いは削がれましたが、代わりに手に入れたのは牧歌的でメロウ、かつ渋い味のあるメロディセンス、それと骨格の太くなった音の鳴りによるダイナミズム、そこから生まれるスタジアムバンドたる風格。ドラムのマットがヴォーカルを執り 「I wanna rock and roll!」 と高らかに叫ぶ 「Brick by Brick」 、砂塵を散らす豪快なリフが印象的な 「Don't Sit Down 'Cause I've Moved Your Chair」 、深い音像とスウィートなムードに陶酔感すら滲む 「Piledriver Waltz」 など。泥臭いハードロックやサイケデリックに片足を突っ込みながら、インディ云々のせせこましさに囚われずに王道としてのロックを鳴らす。レイドバックしたグルーヴの心地良さがバンドの肉体にしっかり消化されています。デビューから5年の間にハイスピードで変化/進化を遂げる彼らのアティテュードには好感が持てる。前作 「Humbug」 の経験も確実に生かされてるだろうし、個人的には彼らのカタログの中で今作が一番好きかも。


Rating: 8.0/10
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