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穂高亜希子 「ひかるゆめ」

ひかるゆめ

ひかるゆめ

2000年代前半より活動を続けるシンガーソングライターの初アルバム。


想いがあればそれは歌になる。アコギ、ピアノ、マンドリン二胡といったアコースティック楽器を基調とした実にシンプルな歌の数々は、そのシンプルさゆえに歌詞の言葉ひとつひとつが耳に引っかかり、胸を打ち、こちらの意識も研ぎ澄ませていきます。例えば曲タイトルには 「道」 「緑」 「水」 「城」 といった簡素なタームが冠せられていますが、その言葉からこちらが想起するイメージと、実際の歌詞で表現される感情のギャップにもいささか戸惑いやショックを受けるかもしれません。紡がれる言葉の中には迷いや不安があり、喪失感があり、時には死すらを匂わせる。それは逆説的に生きていることへの実感となり、時には喜びとなって滲み出す。それらがドロドロとしたマグマのような情念ではなく、柔らかく澄んだ歌声によって冷たく細い針のようにスッと突き刺さる。鬱屈した閉塞感ではなく、諦めともまた違う気がする。すべてを受け入れて死に向かう時の清々しい開放感と言うか、何処か達観したある種の軽みは何気にちょっと凄いものでは。きっといつの時代でも、誰にとっても変わらない歌だと思います。


Rating: 7.6/10
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