Wolves In The Throne Room 「Celestial Lineage」

Celestial Lineage

Celestial Lineage

オリンピア出身の2人組による、2年半ぶり4作目。


美しき濁流。所謂デス/ブラックメタルのバンドではありますが、その音像は高速ツービートやデスヴォイスの怨念めいた激しさがありつつ、ポストロック/シューゲイザーにも通じるアトモスフェリックな轟音テクスチャーを取り入れ、音全体にヴェールを被せたようなしなやかさ、包容力があります。メタルらしいガチムチの肉感的ダイナミズムよりも、表現したい感情/世界観を重視した故のサウンド設計。またオーケストラルなシンセサウンドや女性クワイアも導入し、そのダークな情念が地を這うような禍々しさばかりではなく、真摯なエモーションとしてストイックに突き詰められ、壮大な神々しさにまで昇華されているように感じます。前作 「Black Cascade」 よりもバンドサウンド以外の装飾が多く、短尺の SE 的楽曲も挟むことで音世界に奥行きが増し、より深遠となった構築性。ラスト 「Prayer Of Transformation」 に至ってはクラシックにも似た荘厳さ、圧倒的なまでの悲壮感が重苦しく響いてくる。タイトルは 「神聖なる血筋」 ということですが、果たして聖性とは何なのか。それはエクストリームな表現の果てに潜んでるものかもしれませんね。


Rating: 7.8/10
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