Björk 「Biophilia」

Biophilia

Biophilia

4年5ヶ月ぶりとなる7作目。


特設サイトや iPad アプリと連携するマルチメティア・プロジェクトと言われて凄まじい敷居の高さを感じるのですが、とりあえずは音の感想を。ヴァラエティに富んだ曲調と軽さのあるポップ感が印象的だった前作 「Volta」 とは対照的。鳴らされる音の隅々、隙間にまで神経が行き渡り、穏やかな中にも緊張感が一本通った空気で統一されています。以前の 「Homogenic」 や 「Vespertine」 などと比べても、サウンドは一層絞り込まれて実験的な配置となり、まるで宇宙に放り出されたような静謐さと浮遊感、一寸先の見えない不穏な感覚、けども何故かしなやかな心地良さも同時に覚えたりと、音数に反して様々な質感がない交ぜになった密度の濃い実験的アンビエント空間。リズムが暴れ回る後半の怒涛の展開に圧倒される 「Crystalline」 、深く甘いメロディ/コーラスの重層に溶けていく 「Cosmogony」 、まるで前衛ミュージカルのサントラを聴いてるような 「Hollow」 、冷たく妖しいエキゾチシズムと暴力的パルスを織り交ぜた 「Sacrifice」 など本編10曲。装飾/贅肉を殺ぐことで有限が無限になり、内なる宇宙をさらに拡大せんとする野心作。


Rating: 7.4/10
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