BUCK-TICK 「狂った太陽」 「殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits」 「darker than darkness -style 93-」 「シェイプレス」 「Six/Nine」

昨日に引き続き、 BUCK-TICK 祭りの2日目です。90年代初期〜中期の5枚。



日本レコード大賞を受賞した、1年ぶり6作目。


今作からエンジニアに比留間整を迎えており、音作りが根本から見直されたのか、音の厚みや広がりが段違いに増したのに驚きます。以前のガシャガシャした線の細いサウンドではなく、骨格が太くなって肉付きもガッツリ。効果的なシンセやノイズの導入も単なる付け焼き刃に終わらず、アンサンブルに幅と奥行きを与えるのに重要な役目を担ってる。そういった音の進化によって表現力もグッと深みが生まれ、彼ら独自のダークかつ深遠な世界観が説得力を増して展開されています。12弦アコギの音色と透明なクワイアが幻惑的な美しさで魅了する 「JUPITER」 、逝去した櫻井の母親に捧げられたという儚くも優しい名曲 「さくら」 、切迫したスピードと自己破壊的な狂気を持って迫る 「地下室のメロディー」 、そして宗教的な禍々しさ、重苦しい緊張感が空間を支配する大曲 「太陽ニ殺サレタ」 など。徐々に色を現していたダーク/ゴシック方面への傾倒が、多彩な楽曲とサウンドの十分な練り込みによってついに実を結んだ、今後の彼らにとって本当の原点となる名盤。


Rating: 9.5/10



初期曲を中心に構成された、初のセルフカヴァーアルバム。


英訳すればキラーチューン。前作でタッグを組んだエンジニア比留間整と、今作からマニピュレーターに横山和俊も加わり、録音における BUCK-TICK チームがここで出来上がりました。初期の楽曲はやはり音質や音作りに難のあるものが多かっただけに、このチームで取り直してくれるだけでも有難いのですが、単なるリテイクに終わらないのが B-T 流。前作で導入したフリーキーなプログラミングをさらに推し進め、 「ICONOCLASM」 はインダストリアルな攻撃性が増加、 「M・A・D」 に至っては完全に暴走 (笑) 。他にもよりグルーヴィになり色気を増した 「DO THE "I LOVE YOU"」 、何層にも膨れ上がったサウンドの重厚感が音世界をよりディープなものにした 「ORIENTAL LOVE STORY」 、テンポを大幅に落としてドリーミーな恍惚を前面に出した 「LOVE ME」 など、曲によってはこっちが原曲なんじゃないかというくらい大胆なリアレンジがハマっているものも。経験とアイディアが十分に生かされた、ほとんどオリジナル作と言っても良い充実の内容。


Rating: 9.0/10



オリジナルとしては2年4ヶ月ぶりとなる7作目。


ますます異形と化す B-T 。ノイズ/プログラミング音に加えて今回はハードロックの影響が色濃くなり、楽曲の持つダークネスをさらに深く、迫力と説得力のあるものにしています。 「Deep Slow」 「青の世界」 「LION」 で放たれる明快なギターリフ、ダイナミックなうねりはこれまでには無かったもの。70年代のフレーバーがありつつグランジ由来の薄汚く毛羽立った刺々しさも強く、真っ当に強化されたロックバンドとしての肉体性が単純にガツンと響く。またおそらく世界的に見てもあまり類を見ないであろうポジティブ・ダブ/レゲエ 「キラメキの中で…」 、ダーティな煤を被りまくったクールジャズ 「誘惑」 、ミクスチャーを先取りしカオティックに魔改造した 「Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-」 と曲調の幅広さも拡張し、自らの音世界に取り込む胃袋の強靭さも圧倒的。そしてラスト 「die」 は優しいアコギと狂気めいたノイズが交錯し、走馬灯の中で解放を手にするような 「死」 の讃美歌。闇を超えて闇に向かうというタイトル通りのアティテュードが力強く貫かれた名盤です。


Rating: 10.0/10



海外リミキサー勢による初のリミックスアルバム。


参加したのはおそらく当時の先端を走っていた奇才系の才能たち。相手が BUCK-TICK だろうと容赦なく原曲レイプのオンパレードでございます。まともに歌が残されてるのは 「ドレス」 と 「HYPER LOVE」 のみ (特に後者は Hardfloor によるガチアゲなアシッドハウス仕様で格好良い!) 。それ以外は本当にフレーズの一部分のみをサンプルとして拝借し、あとは自分の作風そのままで構築したようなやりたい放題のリミックスがほとんど。 「JUPITER」 や 「太陽ニ殺サレタ」 なんかはまだ原曲の雰囲気を保ってるので理解できるけど、 Autechre の 「Iconoclasm」 とか Aphex Twin の 「キラメキの中で…」 とか、あんたら曲名ウソついてるだろ?さすがに B-T 作品として捉えるとちとキツいけど、バンド本隊には無い音の楽しみ方が出来るのも確か。例えば最近のバンギャさんが B-T にハマって、遡ってこのアルバム聴いてエイフェックス知って、周り巡って今は Flying Lotus が好きです、とか。そういう風になって人生が少し狂えば良いのに。


Rating: 6.6/10



Six/Nine(紙ジャケット仕様)

Six/Nine(紙ジャケット仕様)

約2年ぶりとなるオリジナル8作目。


アルバムを通じてのテーマは 「輪廻」 。光と影が、生と死が、愛と憎悪が、相反するもの同士が混ざり合って渦を描く中、その狭間に真実を見出そうともがき、足掻く。もはや宗教的なまでの深みに到達した今作は今まで以上にノイズもヘヴィネスも大盛り。偏執的なまでのリビドーを突きつける 「love letter」 「君のヴァニラ」 、自虐と閉塞のスパイラルへと堕ちるヘヴィチューン 「限りなく鼠」 「細い線」 「デタラメ野郎」 、その一方で生きることへの感謝と幸せを歌う 「鼓動」 、戦場に鳴るエスニック・デカダンハウス 「楽園 (祈り 希い)」 、今井寿の右脳が暴走した 「相変わらずの 「アレ」 のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり」 など。曲調に緩急をつけて大きな流れを作り、物理的/精神的なヘヴィネスを思うさま表現するその徹底度はキャリアの中でも随一。コーラン逆回転使用でクレームついて回収といったエピソードもこの作品のカルトっぷりに拍車を掛けてるでしょう。16曲70分超、他の追随を許さない超重量級の名盤。


Rating: 10.0/10


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