Oneohtrix Point Never 「Replica」

Replica

Replica

ブルックリン出身、 Daniel Lopatin によるソロユニットの3作目。


髑髏は笑う。ほぼ禁じ手なしの様々な音のサンプルをミニマルにループさせ、少しずつ層を重ねて奇妙なアンビエント感を生み出す実験的ノイズ作品。ただノイズとは言っても狂気や悪意、嫌がらせじみた負のオーラは意外に少なく、空間の隙間を活かして奥行きを持たせた音像には陰影の豊かな抒情性があり、場面によってはポップな印象すら抱かせる (曲の尺も3〜5分と良心的) 。全体には無機質な冷徹さが通底しながらも不思議と心地良さが滲み出し、聴き手のイマジネーションを著しく刺激します。一番のハイライトとなるのはタイトル曲 「Replica」 。寂しげに鳴らされるピアノの旋律、その儚い美しさを汚す背徳的な快感にも似たインダストリアルノイズ。その音の向こう側に景色を幻視するとしたら、その風景は10人いれば10人とも違うものかもしれません。他にはミニマルテクノ由来の恍惚が最も強く出た 「Sleep Dealer」 、思考も目的も無くしてただ何かと戦い続ける 「Child Soldier」 など聴き手にとっても自由度の高い10曲。ジャケットとアルバムタイトルの組み合わせも素晴らしくクールね。


Rating: 8.2/10
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