Pharmakon 「Abandon」

Abandon

Abandon

ニューヨーク出身、 Margaret Chardiet によるソロユニットの初作品。


マーガレットたん…。どうも10代の頃からこういったサウンドを追求してきたとのことですが (今が何歳かは知らん) 、いったいどの時点で人生の道を踏み外したのか。再生して耳に飛び込んでくるのは彼女本人によるものと思われる悲痛な絶叫と、鼓膜を破壊しにかかる狂気的インダストリアル・ノイズです。みぞおちの奥深くで沸々と醸造された悪意/殺意/敵意の吹き溜まりを、緊張感迸ったパワー系ノイズサウンドに目一杯の金切声で乗せる。全体的にダーク/ゴシックな陰影のある装飾が施されているのと、一応は曲の中に展開があるので聴きやす…くもないですねすいません。一瞬牧歌的に見えるジャケットのろくでもなさの時点である程度覚悟は決まりますが、とことん恐怖感を煽る負の情念が約50分に渡って全霊で発露されています。極め付けはその50分のうちの半分を占めるラスト曲 「Sour Sap」 。もはや嫌がらせとしか思えない、まるでどこぞの拷問場にでも迷い込んでしまったかのような、鬼気迫る爆音怪音が轟々と渦を巻く。やはりこの手の音はいつの時代でも事故みたいに産まれてしまうものであり、その都度有効性を持つ普遍的な魅力のあるものなのです。多分。

Rating: 8.1/10