Fuck Buttons 「Slow Focus」

Slow Focus

Slow Focus

3年9ヶ月ぶりとなる3作目。


オープナー 「Brainfreeze」 では冒頭からトライバルなリズムが激しく打ち鳴らされ、ノイジーなシンセサウンドのレイヤーが徐々に折り重なり、ひとつの塊となってどんどん肥大化していく。まるでひとつの世界が勃興するような途方もないスケール感、ポジティブな力強さを感じさせます。前作はトランス譲りのアッパーなイメージが強かったのですが、今回はダウンテンポの曲が主軸。そのため派手さや即効性は若干薄れたかもしれませんが、どっしりとした重量感の増したサウンドは聴き応えも十分です。長いスパンを掛けて空間的な轟音を作り出すその手法はポストロック/シューゲイザー的と言えるかもしれませんが、それにしてはどの音もガッシリ骨太で、緻密でありながらも晴れやかにブッ飛ばす豪胆さの方が印象に残ります。他にはヒップホップのフレーヴァーを取り入れつつ、ほとんど工事現場のドリルみたいなノイズが脳天に叩き付けられる 「The Red Wing」 、何処か感傷的、刹那的なドラマチシズムを感じる大曲 「Hidden XS」 など。ミニマルテクノアンビエントにカンフル剤ブチ込んだ健康的なノイズサウンド。その様は痛快と言う他ない。

Rating: 8.0/10